2019年9月28日土曜日

団塊世代は「想定外」と「風評被害」という言葉を訝しむ! The baby boomer wants to thoroughly condemn the words “unexpected” and “Harmful rumor”! 

 あの台風15号で甚大な被害を被った千葉県の森田健作知事が居直った!
あれだけの台風の状況を把握できず、長い停電他多くの被災者を出した今回の対応に、メディア・マスコミ、ネット投稿で問題提起され非難されたにもかかわらず、問題は無かったとシラを切ったのだ。この反応は数倍に成って帰ってこよう、もしくは誰にも相手にされなくなるだろう。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190927-00000135-kyodonews-soci

 今日は本来、3.11東日本大震災時の東電首脳陣の福島第一原発事故問題の責任問題裁判で「全員無罪」に関する話として「想定外」といういい加減なマスコミ用語を深堀りするつもりだったが、此の森田健作知事の「問題はなかった」答弁が入ったものだから、併せて述べてみたい。

 あの「俺は東工大の理工系だから原発には詳しいんだ!」の発言で顰蹙を買った菅直人首相はじめ、言う事を平気で二転三転させた枝野幸雄官房長官(当時)など「お子ちゃま内閣」が率いた日本政府のメディアへの決め台詞が「想定外」だった。これは東電首脳部の言い訳記者会見でも何度も電波を通じて聞かされ耳にタコができた「言葉」だった。

 この「想定外」と言う言葉は、実は3.11の2011年の東日本大震災時に生まれた言葉ではなく、2005年度の「流行語大賞」でホリエモン(堀江貴文)が使った「想定内」からスピンオフした「想定外」が3.11で多用されたものだ。

 よくよく考えてみると、此の「想定外、想定内」と言う言葉は、ある程度裏付けられた物理的根拠に基づいての結果を表す学術言葉なのだ。数値目標、物理的規模の限界を知っての「想定」だからこそ使える言葉なのだ。

 しかし、その「想定数値」は東電やその他営利目的で行う企業の場合、自社の財源、マンパワー、利益、社会貢献などを複合的に加味した結果「自社に都合の良い数値」が勝手な想定値なのであって、「自社に都合の悪い結果が出てしまった、責任を取らなければいけなくなった事態が生じた」場合、すべて「想定外」だったという「言い訳」に使われていることは明らかだろう?

 国民は既にこれを随分以前から見抜いている。政府、各行政、役人たちの文書制作の半分以上の内容が「言い訳、アリバイ説明、責任転嫁」だと、かの山本夏彦氏が述べていた。まさに、この「想定外」と言う言葉はこれに最も便利な言葉だろう。東電原発事故の場合も、今回の台風の千葉県の対応の場合も、すべての対応・初動の遅れに関して「想定外」は全くの嘘で言い訳だ・・。しかし個々の実例に関してはここでは触れない。ネット記事に沢山出ているのでそちらで是非ご覧いただきたい。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190925-00030086-president-soci&p=1

 次に触れたいのが「風評被害」と言う言葉だ。

 残念ながら3.11の原発事故以来、福島県産の農作物などは他県のそれに比べ「味」は美味しくとも高値はつかない。魚介類も同様、肉類においては販売も進んでいないと聞く。当たり前だろう?「風評被害で困っているんです」とはよく聞くが、完全に他県や輸入品と比べて放射線数値や残留放射能が同じとは思えまい?
風評被害と言うが、きちんと調べた報道も歴然とある。人々はこれを判断基準とする。

 もう今は数値が少し下がったようだが、放射線量の多い水が溜まった奥日光中禅寺湖では釣りの禁止、釣った魚の持ち帰り禁止措置などを経て現在に至っていると聞く。その放射線量の多い水は流れ流れて東京湾へ流れ込んだ。その東京湾への各河川の河口部に沈殿した汚泥の放射線はなんと!一時期、福島県内の立ち入り禁止地区よりはるかに高くなったという。現在も異常に高い場所もあり、分解・消滅するまでこの先ずーっと残るというではないか。

 江戸前のハゼの放射線残量調査などは、東京都でも千葉県でも行ってはいるが、その採取場所は河口部ではなく流れのある部分での個体調査だ。もちろん行政は人体に影響のない場所のデータしか発表しないだろう。原発事故以来国や自治体の発表数値とNPO、学者の調査機関が発表するデータに雲泥の差があるのは国民皆が知っている「不都合な真実」なのだ。
 つい最近千葉県が正直なデータを発表した。河口部の天然鰻から放射線が検出されたので気を付けろという。鰻から出れば他の泥生物に無いわけがない。

 しかしその汚泥で育ち生活している「江戸前のハゼ」などの遊漁船が営業止めになった話は聞かない。「風評被害」に負けないとか、営業権利だとか言ってずっと秋になると「ハゼ釣り」でにぎわっているという。

 もし全く問題がないのであれば国会食堂メニューや議員の弁当をすべて福島産の食材で作り運営しろと言いたい。江戸前のハゼの甘露煮を食べさせればいい。毎日それで問題ない姿を政府役人・大臣が身をもって示せば国民も納得しよう。福島県を応援する気持ちはもちろんある、大いにある。しかし東電や政府がいい加減な対応をして起きた事故の償いを国民が先頭に立って行うのはおかしかろう?「風評被害」を声高に叫けぶことでいい加減な「安全宣言」の代わりにされたくはない。

 これと同じような話が大地震に伴う活火山周辺の観光客減や鳥インフルや豚コレラなどの食材クライシスに伴う風評被害アピールだ。
 熊本地震直後、当然のように観光客が減った熊本県は「風評被害」で観光客が減るのを何とか食い止めなければ・・。とコメントした。しかし、地震学者や専門家たちは、ここ数年今回の規模の地震はいつ来てもおかしくないので、十分な対処が必須だ。と言っている最中のアピールだった。
地元の地方紙ですら学者たちの警告を掲載している。

 「風評被害で観光客が来なくて困る」というコメントの意味は「もう全く問題は無く安全なのに、さもまだ安全ではないかの様な噂が立って、困っている」と言う事だろう?ハッキリ言ってこれは嘘だろう?学者や専門家がまだ危ないと言っているのに自治体が「風評被害でまだ危ないと思われるのは心外だ」と言って客を呼び、再び専門家の指摘通り大地震に遭遇して怪我でもしたり交通遮断で不自由した観光客にいったいどういった責任を取ろうというのだ?その場合「想定外」だったとでも言うつもりだろうか?

 熊本地震を例にとるなら、隣接した福岡県や山向こうの宮崎県が「風評被害」で客が減るのを食い止めたい・・なら話は判る。逆に、鹿児島の桜島が大噴火して、南九州辺りはヤバそうだから避けようか?と佐賀や福岡への観光を控えようというのなら風評被害といえよう。

 少し話は違うが、日韓関係の悪化で韓国からの観光客が激減したと九州エリアの観光産業従事者がぼやいている様だが、それへの適切なコメント記事が出ていたのでご紹介。
https://www.iza.ne.jp/kiji/economy/news/190910/ecn19091013120006-n1.html

 この「風評被害」と言う言葉をその当事者が、さも何もない、もう安全なのに自分たちはあくまで『巻き添え被害者なのだ』・・というつもりで安易に使うのは大間違いだと言いたいのだ。「風評被害で・・」と言うコメントが出たらまず疑ってみる事だろう。