2019年9月13日金曜日

団塊世代が先日の15号台風で再確認した事。 The baby boomer reconfirmed manythings with the typhoon No. 15 the other day.

 今日は先日の台風15号の被害が思いのほか大きくて、房総半島、東京都の離島・島嶼部の日常生活に戻れない状況が長引いて、あちこちで問題になっている件のブログだ。

 今現在昼夜兼行で復旧活動に精を出している全国からの電力系応援部隊の奮闘には最大級のエールを送りつつ、現場に手伝いに行けば足手まとい必至の古希爺の今回台風被害分析コメントをご紹介してみたい。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190912-00000080-mai-soci 

 幾度もこのブログで述べたとおり、筆者は6歳から13歳に至るまで九州の福岡県と熊本県で過ごした為、台風と言うモノの怖さとその事前準備、心構えと言うモノが如何に大変か実体験を通して身に染みて知っている。その後単身上京した後も夏休みの帰省時に2度の水害(床上浸水)を経験し、停電、水道ストップなどには慣れっこになって育った。

 はっきりと言う!今回の台風での房総半島の被害は経験者から言えばある程度事前に想像できた。三浦半島にも房総半島にも上陸せず、あの狭い浦賀水道を抜けて東京湾最深部の千葉に上陸したと聞いて、房総半島メチャクチャ!の予想はあった。三浦半島も房総半島も1970年代後半にロードレーサー(自転車)で散々走り回ったエリアなので、海岸線も内陸部もよく知っている。

 今回の状況は、その災害への準備・覚悟・対策が住民側にも東電・各県市町村の行政側にもほとんど無かった事に原因があると言ってよいと思う。千葉県に強い台風の被災実経験者が居なかったという事が今回の問題の原点の一つだと思う。

 台風の渦巻き、暴風圏が小さいと「小型=大して強くない」台風だと思い込んでいるだろうが、これが基本的に大間違いなのだ。気圧が低い(970ヘクトパスカル以下)台風の場合、渦が小さい(=暴風雨圏が狭い)と中心部の渦巻きのスピードは非常に速くなる。

 台風と言うよりは大きな竜巻と言った方が良い。暴風域・強風域が異常に広い巨大な台風は空気の流れの範囲は大きいけれど、空気の流れのスピードそのものは実はそう速くない。これに比べ半径が小さく気圧が低い台風は、暴風圏内右側において瞬間最大風速が異様に速くて強くなる。

 普段あまり台風の直撃を受けたことが無いエリアがこれに襲われると、いわゆる風倒木の類が非常に大きくなる。以前北海道の支笏湖エリアできれいに植林された人工林が広いエリアで横倒しになり、シベリア・ツングースカに巨大隕石が落ちた場所のように、皆同じ方向を向いて針葉樹が倒れた事が有った。これがこのタイプに襲われた結果だ。直後に現場を通って撮影したのでよく覚えている。
北海道なんて今まであまり元気な台風に襲われたことが無いのだ。せいぜい記憶に残っているのは洞爺丸事件が起きた時の台風くらいだろう。

 九州や沖縄ではこういうことはまず起こらない。年に何度も台風が襲うので中途半端な樹木は既に倒れてしまっているのだ。現在残っている樹木はそういう厳しい暴風・強風の中を生き抜いてきた風に強い樹木だから途中からポッキリと折れる様な風倒木が少ないのだ。

 テレ朝のモーニングショウで、親の七光りで名を挙げた三流の元野球選手がバカなコメントを上から目線で繰り返していたが、あまりに台風を知らなさすぎるし無責任な発言が多すぎる。
大西洋で主に発生するハリケーンは日本に来る台風よりはるかに強いと述べたり、千葉辺りの高圧線鉄塔や電柱の強度を九州並みに強くすれば今回の事が起きなかったのではなど、コメンテーターとしての基本的資格がない無知な素人だ。

 現場でまだ多くの方々が復旧苦労されている現在、スタジオと言う何の苦労も問題もない場所で上から目線で決めつけたように、それも間違ったコメントを言うべきではなかろう。
 ある意味小気味よく断言するコメンテーターを使いたがるTV局メディアだが、間違った情報を断言しては「嘘の情報を堂々と流す」事になるのだ。TV局は判っているのだろうか?視聴率とスポンサーの言いなりなのでは?

 ちなみに過去の台風とハリケーンの最大クラスを比較しても、台風の1959年伊勢湾台風895ヘクトパスカル、最大風速秒速75m、死者・行方不明5,098名に対し、ハリケーンの2005年カトリーナ902ヘクトパスカル、最大風速秒速78m、死者行方不明1,335名と言う様にほぼ同じような状況なのだ。これで彼の思い込みによる知識が如何にいい加減か分ろう?

 もちろん電柱や鉄塔の強度は基準で決められた通り全国同じだし、今回の瞬間最大風速57m超えの千葉を含めて、観測できなかった場所での瞬間風速は秒速7~90mは優に超えていたと思われる結果が多く、これが原因で多くの倒壊事故や風倒木を生んだのだろうと思う。

 停電の原因は東電首脳部も自治体も、末端地区での風倒木で道路や電線がズタズタになっている事の情報を得られないまま、過去の事例データをみて復旧予想を簡単に発表してしまったという事だろう?

 その安易に現場確認もせず安請け合いでの復旧予測をした結果、東電・自治体行政はメディアを通じて袋叩きに遭って居るが、甘い考えのお詫びと反省は当然すべきだろう。しかし自分が台風で一度も苦労もしたことない輩がSNSで自分が見えない事を良い事に、無責任な上から目線での叩き方をするのは酷すぎる。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190912-00010007-fnnprimev-soci

 筆者も現場も観ないで簡単に甘い先予想をした東電をFacebookで叩いたが、それは台風翌日の事だからだ。昨年の大坂湾でのタンカー漂流を起こした際の台風停電復旧は、ほぼ2日で完了している。今回は盲腸のような房総半島の先端部の現場情報が入らなかったため、九州の様な台風慣れしていない電力マンたちが、予想も出来なかった事態が沢山起きたのだろう。
https://mainichi.jp/articles/20190912/k00/00m/040/096000c

 東京湾の狭い水道の上を奇跡的に器用に抜け、最深部の千葉に上陸した15号は、スピードが速いうえ気圧が低いまま進んだ点で、教科書通り気圧差による強い渦巻きの風+台風自体の進行スピードが加わって、進行右側の風が想像以上に強くなったのだろう。

 同じ台風が九州の宮崎や鹿児島に上陸したとしても、今回のような風倒木は生まれなかっただろうことは既に述べた通り。その強い点で台風の直撃経験不足の千葉は不運だったのだろうが、もう少し臨場感のある経験者を東電も行政もスタッフメンバーに入れておくべきだろう。これからそうすべきだろう。気象予報士も「今回の台風は雨より風に注意が必要です!」とは言っていたが、ここまでの強さだという注意喚起は行っていなかった。
気象予知のプロ集団「ウェザーニュース」はちゃんと暴風による停電リスクの高い、危険なエリアを事前に予知していた。上が予測、下が実際停電発生地区(赤丸)

「台風の被災経験値」は貴重だし、持っているといないでは全然予測も対処法も違う。「できない事=諦める事」と「出来る事=諦めてはいけない事」の判断を現場で瞬時にできる経験スタッフの存在は大きいはずだ。
あのスーパーボランティアの尾畑春夫さんがなぜ迷子を捜せたか?そしてそれが如何に凄いか?と言うのが、「経験値が豊富」とういう一言に尽きたことは明快だったろう?

 千葉の停電復旧、断水問題を先に取り上げたが、台風一過、翌日の朝の公共交通機関への殺到騒ぎがすべてスマホによる「自分が少しでも先に行ければ・・。」の寄り集まりだという、機械によって行動をマインドコントロールされ始めた人間の怖さ・・を次に述べたいと思う。