2025年7月7日月曜日

オオタカの生態観察 水飲み・水浴び⇒飛び立ち 編 1. Observing the ecology of the Northern Goshawk: Take off after drinking water and bathing Part 1.

  オオタカのオス、水飲みと水浴びを2日間にわたってご紹介したが、引き続きその後飛び立つ瞬間の美しさをご紹介したい。

 うるさいほど繰り返すが、何かに留まっている状態の野鳥は、どんなに近くに寄って高性能のカメラで画面目一杯奇麗に撮れても、野鳥図鑑の標本の域を出ていないと思っている。

 何かをしようとして行動をしている画像(生態写真)、大空を優雅に飛んだり、争いか何かで身をひるがえしながら飛ぶ姿こそ「美しいし、意味がある瞬間!」と筆者は思っている。

 そのフォルムは翼が在る意味では航空機とまったく同じだと思う。格納庫に入っていたりエプロンに繋がれている航空機を好んで撮る人はいまい?


 こういう筆者の目指す生態撮影の場合は、お仲間のバーダーさん達と行動を共にして、ワイワイ話をしながら撮影を楽しんでいてはまず撮れない。それはそれで野鳥撮影ファンの楽しみ方だから大変良いと思う、決して否定はしない。

 しかし、キレイな写真ではなく、生態のある一瞬を記録するための撮影の場合は、撮る方=筆者も五感を研ぎ澄ませて被写体の行動を観察・予測しなければ「最高の瞬間」は撮れない。カメラ機材の高い安い、新しい古い・・ではない。

 プロの野鳥写真家さんたちは必ず一人ぼっちで行動し、自分だけのスタイルを確立されているだろう?いろいろ学ぶところが多い。

 1時間以上にもわたるオオタカの水浴びを、こうした不自然な態勢・スタイルで撮り続けるのは灼熱の太陽の下では非常に危険を伴うのではないだろうか?熱中症対策、毒虫対策、脱水症状対策、日よけ対策をしないと、同行者や仲間に迷惑を掛けかねない。

 あくまで野鳥生態撮影は事前の念を入れた観察、場所の熟知、用意周到な準備が大切。充分な水、食べ物、塩分、ごみ袋、虫よけ(スプレー、虫よけネット)折り畳み椅子、時間的余裕。これらが揃ってこそ野鳥撮影が可能だと思う。

  また前置きが長くなってしまった。

 今回の飛翔撮影は、オオタカが水飲みに来てそのまま飛び去った際の、全身が濡れていない状態での飛び立ちをご紹介。

 これは、いつものルーティン水飲み⇒水浴びの途中で、すぐ傍から撮影している集団の何かを警戒し飛び去ったと思われる。此処のオオタカは毎日待ち受ける撮影者10数名の存在を完全に把握して慣れてはいるが、いつにない話声、モノを落とした際の異音、何かいつもと違う事を察知し警戒すると水浴びをせず飛び去る。

 水飲みだけで飛び去るのは、逆に滅多に無い事なので、全身が濡れていない状態でのオオタカのしかも撮影者の方向への飛翔を前から撮影できるチャンスは非常に限られる。

 この猛禽類の飛び立ちは普通いつどの方向へ飛ぶか?全く判らないと思うだろうが、オオタカの生態を数日間丁寧に観察すると、決まった水飲み場・水浴び場からどの方向へ飛び立つかは予測できるようになる。








こうした数カットが撮れた日の高揚感、達成感は撮れた者にしか判らないだろう。