2017年5月10日水曜日

キビタキの採餌行動を観察する。 I observe foraging of the narcissus flycatcher.

  キビタキの影が濃い今年の日光エリアだが、早速戦場ヶ原の湯川沿いに行かれた2名の方々からまるで違う反応のメールを戴いた。
 ブログを見てよかった!思いのほかたくさんのキビタキに出遭えて感謝したいという方と、2羽には出遭えたが、それほど沢山は居なかったというもう一人のお方だった。

 これは天候・気温・風の強さでずいぶん出没場所が変わると言うことを考えた方と、ブログに書いて在るとおり行けば居るだろう・・・との軽いノリで行かれた方の差が出たかもしれない。

 野鳥愛好家の情報を聞いて、「すわ珍鳥だ!難易度の高い野鳥だ!」とカメラを持って言われるがまま押しかける撮影者が多いようだが、相手は自然界の生き物、上野公園のパンダとは訳が違う。それなりに研究して探すべきだろう。人気タレントの追っかけだって人に情報を聞くだけでは無く、事務所やブログの仕事のスケジュールをネットで確認してから追っかけるだろう?これと同じ。

 簡単に言えば、Narcissus Flycatchers、つまり(水仙)ナルシソス・フライキャッチャーという英名を持つキビタキの事、空中を飛ぶ羽虫の類いを餌にしていることはよくご存じの通りだ。で、その羽虫がいつどこを飛ぶかを予測さえすれば居る場所は自ずから判ろうと思う。
 何でもかんでも人から訊いて野鳥に出会う事を繰り返すだけならば、その方は野鳥撮影は向いていないと言って良いだろう。

 羽虫は春になって暖かくなると羽化して飛び回る。暖かい地上付近にまず現れ、樹木の上の方にはまだは虫は居ない。だからこの時期オオルリなどもまだ木のてっぺんで囀らず低い位置で撮影できる。
 時間的には朝と夕間詰めだ。渓流の魚たちも夕方になると、水面近くを飛ぶ羽虫を水中からジャンプして採餌する。これをライズと呼ぶほどだ。もちろん風の強いときには上空は飛べないので川面に近い谷間や強風をよけて森林地帯に集まるのだ。

 5月7日、8日は低気圧のおかげで北関東は非常に風が強かった。東北地方で山火事や大火が在ったのを覚えておられよう。従って筆者が出遭えたキビタキは強風をよけて森林地帯や湯川沿いに沢山集まって居たわけだ。
 5月9日東京へ帰る朝、日光東大植物園にちょっと寄ったら、もう既にオオルリが高い木の梢で囀っていた。戦場ヶ原の湯川の渓谷に居たオオルリと、山を下った標高の低い日光市内の植物園では同じオオルリでも居る場所が違うというわけだ。そういうことで本日のブログはキビタキが樹木の気の葉の裏にいる虫の採餌シーンを集めてみた。例によってきれいに撮っているのでは無く、生態・行動の瞬間を収録している画像なのでお含み置き願いたい。
樹木の多い場所でキビタキを見つけても隠れているのでは無い。

羽虫をフライングキャッチするのでは無く、葉の裏にへばりついている毛虫やヤスデのような芋虫系を採餌するのだ。

わざわざ葉っぱの多いエリアを飛び回る理由はこれなのだ。

従ってこのように真上に向かって口を広げて飛んだりする。

どんなに小さくともこまめにゲットしている。

翌見ないと獲物を咥えているのを見逃してしまう。

何度も真上への飛翔が在った理由がやっと判った。

20分間、その場に釘付けだったが決してどこかへ行ったりせず、ずっと同じ場所を飛び回っていた。理由が判れば撮影は簡単だ。