誰しもが思ったことだろう、今年の春は少し早すぎる・・・と。
例年ならやっと開花の3月末にもう花吹雪に花筏なのだ。桜に限らず樹木の芽吹きも異常に早く、既に都内の緑地帯の森では上を見上げても青空を仰げない状態に成ってしまっている。
最近、都内でも多くのバーダー(野鳥撮影が趣味のアマチュアカメラマン)が大砲レンズを三脚に付けて、営巣中のオオタカの巣に群がったり、羽休めの状態を撮って盛り上がっているという話題を良く聞く。こないだのNHKスペシャル「映像詩・ワイルド東京」でもオオタカ以上にそれを追うアマチュアカメラマンの生態の方に目が行った。
写真撮影はスマホでしか行った事が無い人々には鳥を追いかけるバーダーも鉄道写真愛好家、いわゆる鉄ちゃん、あるいは鉄男・鉄子と言われる人種も同じに見えるという。鉄道撮影者と同様、周りへの迷惑顧みず「我が道を行く」グループだと見られていると幾度も色々な人に聞かされた。
ちょうど5年ほど前、このブログで投稿したものが未だにアクセスランキングの20位以内に常時入っているのも問題になっていることの裏返しだろう。
https://yamasemiweb.blogspot.com/2016/04/blog-post_30.html
筆者が最近良く行く明治神宮では他の緑地帯とは異なって三脚を立てて撮影する様なバーダーさんは居ないので、非常に自然な環境でバードウオッチングできる。
この森の場合いつも決まったお目当ての野鳥が同じ所に居ないので、他人にどのような野鳥が何処にいるか予め訊いて撮りに行くような人は来ない。自分の足と勘と経験で探し当てる所からゲームが始まるのだ。その面白さを知らない人が多すぎるような気がするのだが如何だろう。
例えば、東京から離れた地方でその年の渡り鳥の飛来情報(だいたい来る場所は決まっている)や、迷鳥、珍鳥の飛来などは親しい仲間から情報が入る場合に限って行く事もあるが、留鳥の場合は自分で生態を研究し学んで探すところから入るべきだろう。居た、居たから撮った、撮れた・・・では動物園のパンダを撮ったり剥製のカワセミを撮影するのと同じではないだろうか?
野鳥撮影の場合には「結果がすべて」では無いと信じたい。そうでなければ大砲を並べて隣のカメラマンと同じ画像を撮って喜んでいるレベル以上には決してなれないだろう。「俺のは右向いてるんだけれど、貴殿のは左かあ」程度で終わるって事だ。
昨日は明治神宮で、今日は野川沿いでオオタカに遭遇した。春が速いので彼らの繁殖も早いかもしれない。ここ数か月は年間でもオオタカの警戒心が最大限に高まる時期なので、刺激し繁殖の弊害にならないように観察したい。年中繁殖期の人間とは訳が違うのだ、注意してあげたい。
オオタカの色々な研究データによると、オオタカの営巣分布は一番近い他の個体営巣との距離が1.7㎞程度、営巣エリアは森の端から最短で70m程度、人家から150m、道路から100m程度と在った。東京近郊郊外の鎮守の森の杉の木に営巣する場合も多いので、このデータが何処まですべてに当てはまるか不明だが意外だった。
10㎞✕10㎞=100㎢に13~4ペアが生息するという事は、東京の都心緑地帯に10ペア以上が営巣繁殖していても全然おかしくないという事に成る。特に行動範囲はオスの場合100ha~2000haという事なので明治神宮の森から外へ出ない場合もあるようだ。
一方三鷹、野川のオオタカの場合、早朝よく住宅街上空を北へ飛ぶ姿を見るが、小金井公園~井の頭公園~神代植物園・三鷹天文台以上の遠方へは行かないようだ。それだけ明治神宮の森はオオタカにとってさほど移動しなくても済む良い環境なのだろう。
このあたりを充分に学んでオオタカの生態も知ったうえで今後も観察を続けたい。シベリアや極地で命懸けで動物の写真を撮っているプロとは雲泥の差だが、少しでも被写体を学んで知って撮るように心がけたいと思った。