2020年8月9日日曜日

球磨川7月豪雨災害の検証 その1.Verify the Kuma river July heavy rain disaster. vol.1.

  昨日の川辺川流域から球磨川流域までの非常に珍しい流れの地図をご覧になって、相当驚かれた方が多かった様だ。

 これに加えてもっと驚いていただくには、人吉市の海抜標高がたったの105mしかないという事実だろう。

 人吉盆地とは言うものの、あれだけ球磨村エリアの峡谷を流れる急流で有名な球磨川だもの、相当な高低差があるに違いないと誰しも思うだろう?それがそうではない所に河川の不思議が存在する。

 今回の球磨川の災害の後、東北の最上川が氾濫した。実に似た自然環境に在る最上川も、氾濫した尾花沢市の上流寒河江市辺りでも海抜は100m程だ。海へ流れ出る酒田市から100㎞も上流だというのにこの高低差。このあたりも大きな川の洪水に関するヒントが隠れているような気がする。

此処で繰り返すようだが、球磨川と川辺川の位置関係を地図で頭に入れておいていただきたい。油谷ダムと入谷ダムはあくまで球磨川・川辺川の支流で源流点に存在する小さなダムなので洪水の抑止力は持たないと考えるが、球磨川上流の市房ダムと企画された川辺川ダム(中止)は従来の考え方で言うと下流の洪水抑止に大きな効果があると思われている大きなダムだ。これ以外にも水位が低い冬季などに農業用水を確保するための灌漑用利水ダムなどがあるが、洪水調整には全く使用できない規模で数か所存在する。

 実は、この市房ダムが完成したのは1960年だが、しかしそれ以降球磨川の洪水が増えたという不思議な話が存在する。これはWikipediaの市房ダムの項でも一部触れられているし、球磨川の鮎漁師の方々に訊いた話でも、人吉市や八代市の1960年以降増えた洪水は市房ダムが豪雨・満水に耐え切れず放流したからだという話が通説になっている。しかし筆者は証拠記録が見当たらないので聴くだけにしている。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%82%E6%88%BF%E3%83%80%E3%83%A0 

一方で球磨川に関する資料の中にこういう記述も観られる。公共資料だ。

 これらを見る限り、ダムがあるから洪水は防げるはずだ・・という思いとは逆の話が結構多いという現実が見えてきている。これはあくまで今回2020年7月豪雨以前のデータだ。

 これに加え、過去において治水関係が洪水時の雨の降り方を記録した資料が存在するので球磨川水系ともども、何処でどれ程の雨が降っているのか?またその降った水量のコントロールに市房ダムがどれだけ功を奏したのか。また川辺川ダムが計画された際にこれらの過去の豪雨による水害を抑止し得たかなどを想像して頂ければと思う。