2023年3月31日金曜日

春の野川のカワセミはカラフル。 In spring the kingfishers in the Nogawa river of Mitaka are colorful.

 北関東の池のカワセミを観察し続け、求愛給餌から交尾まで一連の繁殖行動初期を撮影出来たので、翌日は久しぶりに地元三鷹の野川を巡回してみた。

 やはり川沿いのカワセミは一か所の池に採餌に来るカワセミを待つのと異って、幅広い採餌エリアを自分の足で歩いて探さなければ出遭えない。しかし自然は鳴き声という素晴らしいヒントを与えてくれる。チチ―!の声ですぐに何処にいるか判る。

 野川の環境に慣れて少し歩けば、繁殖期のカワセミに遭遇するのはそう難しい事ではない。野川のような小川の天然土手は今、菜の花に黄色や花大根の紫花で一杯だ。もちろん水鳥も多い。

 中には営巣している巣穴の正面に陣取って三脚を構え椅子に座って、出入りを撮影しようとしている無知なバーダーもいるが、周りにカワセミを撮りたがる見物人を集めてしまい繁殖の妨げになるだろうと心配している。自然の営みを妨げるような行為はやめるべきだろう。

 婚姻色のダイサギ、コサギ、カルガモ、マガモ・・。

 そのように混雑したところでも平気でダイブして採餌している。昨日はいきなり交尾シーンに遭遇。撮影も出来たが、とりあえずは春の野川の中でのカワセミの動きを今日はご紹介。

 今までの都市圏のコンクリート護岸池と自然の河川の背景の違いを比べて頂けると面白いと思う。カワセミにとってみれば、餌が豊富であれば周囲の環境はあまり気に成らないのだろう。

散歩の人間たちもカワセミの存在に気が付かない。

コサギが採餌中

菜の花に囲まれて目立たないカワセミ

ダイブして

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カルガモのすぐ横にダイブするカワセミ。カルガモは全然気にしない。

北関東の池ではザリガニが盛んに採餌されていた。

三鷹の野川でもザリガニ、何故かこの時期はザリガニが採餌されている。

2023年3月30日木曜日

野鳥繁殖のプロセス、その2・交尾(カワセミの場合) Wild bird breeding process, Part 2: copulation (case of kingfishers)

 昨日の求愛給餌行動の後、カワセミの場合は交尾行動に移る。これはヤマセミなどとも同じだ。ヤマセミの場合は河川の上に掛かるワイヤーなどの架線上、あるいは河川の岸の崖、土手に生えている樹木の枝、あるいは河川の水中から出ている大きな岩などで交尾をする。

 ヤマセミの場合は幾度も交尾行動をする。1日に多い時で3~4回(球磨川エリアにおける筆者の目視記録なので、実際はもっと多い可能性の方が高い)。抱卵中ですらする。一度などよそ者を縄張りから追い出す戦いの最中、球磨川の両岸に分かれて休息をした。その時に戦いの相手の観ている前(100m以上離れた球磨川対岸だが)で交尾をした剛の者が居た。静止画のみならず動画でも撮ってある。

 これに比べてカワセミの場合観察があまりに少ないため、決めつけたような物言いは憚るが、多分同じだろうという事は想像に難くない。
 カワセミの交尾は池や小川の縁・土手の樹木の上で行う事が多い。しかしいずれもすぐ傍、飛んで何秒という場所に河川や池があることが条件。
 この理由は天敵。猛禽類などに急襲された場合、水中に逃れて反転する「水遁の術」を使えることが重要である事による。

 今回は二日続けてカワセミの交尾を撮影できるという幸運に恵まれた。まず最初は昨日の求愛給餌を行った北関東の池をベースにしたカワセミ・カップルの交尾。翌日は地元野川での交尾だ。

 今日ご紹介の北関東の池のカップルは1日に2度交尾行動をしたが、最初の1回は不十分で予行演習的なものだった。二度目を行ったのはチー、チーと鳴き合って、その間隔が狭まった直後20mほどの距離からオスが飛んできての行為開始だった。

 どうやら、北関東のこの池のオスは非常に若く、初繁殖なのかもしれない。体色も非常にきれいで初々しい気がする。



此の大物の餌を目の前で給餌せず、巣穴の方へ向かって飛んで行って給餌した。

この池では比較的大きな獲物だった。

チーチー短いサイクルで鳴き合った直後、交尾行動が始まった。

球磨川などの幅広い河川ではなかなこういう絵が撮れない。

先日雨の日、夕方5時から6匹も獲物を採餌したメス。ボディが大きい。

時間的にはそう長くなかったが、確実な交尾だった。

2023年3月29日水曜日

野鳥繁殖のプロセス、その1・求愛給餌(カワセミの場合) Wild bird breeding process, Part 1: Courtship feeding (case of kingfishers)

  猛烈な勢いで春が始まった。植物の変化は1日で相当に変わってしまう。柳など新芽が薄っすらと出ているなと思って2日も目を離すと3日目には垂れ下がった新芽で一杯に成ったりする。

 近所のボケの花など2~3個花が開いている写真を撮って、同じ所に3日後行ったら満開に近かかったりする。

 動物の変化はそれに比べるとよほど注意していないと何が繁殖期の春なのか良く判らない。

 九州の人吉を中心ヤマセミという希少野鳥の観察を10年間続けて、その一年間の生態がある程度わかったつもりでいるが、同族のカワセミの場合はどう違うのだろうか?

 ここ3年間は球磨川豪雨災害に加え自分自身の闘病生活のおかげで人吉にも行けず、東京エリアで同族カワセミを観察・撮影して来た。その甲斐あってこの春やっとカワセミの繁殖の模様を間近で観察・撮影出来たのでレポートしてみたい。

 人気の野鳥、特にアマチュアカメラマンの初心者にとっては一番人気の種「カワセミ」だもの、観察・撮影は非常に難しい。

 撮影マナーもルールも知らない人があまりに多く、上野動物園にいたパンダや我が家のペットと同じ目で自然動物を見て、同じようにスマホやコンデジの液晶画面を見ながら近づいていく。

 もちろん他の撮影者への迷惑などまるで眼中にない。液晶を観ながら被写体へ近づくので他の撮影者・観察者にはぶつかる、池にスマホを落とす、カワセミは逃がす・・で現場は大騒ぎになる訳だ。

 そんな中、雨の北関東、いつもの場所に3日間通った間に数回「求愛給餌」に遭遇、撮影出来たのでご紹介。

 で、まず1回目は、繁殖行動のプロセス#1、求愛給餌。

 ヤマセミの場合は求愛給餌をした直後に交尾というのはあまり観たことが無い。しばらくしてからが殆どだが、カワセミの場合は撮影した記録から見ると求愛給餌直後の交尾も結構ある様だ。しかし球磨川や川辺川での撮影は対岸一掛かったりして距離が遠かった。

 今回は、幸いにも雨の中適度な距離で観察でき、画像も撮れたので判りやすいと思う。しかし撮影する方からすれば雨というものは厄介なものだ。

気が付いた時には餌の渡しが始まっていた。

左が餌を渡すオス

右が餌を貰うメス

けっこう長くかかって渡すのはヤマセミと同様


渡し終わって、すぐにメスはその場で呑み込む

この直後見合った二羽、すわ交尾か?と思ったがしなかった。寒かったのか?
 

2023年3月28日火曜日

繁殖期のカワセミは雨の日でも活発! Kingfishers during breeding season are very active even on rainy days!

  3月中旬、北関東の準観光地的な場所にある池で、今まで2年間オス1羽しか確認されていなかったカワセミがオス・メス二羽でいるという情報を得て遅かれ早かれ繁殖行動に入るだろうと推察。

 筆者自宅のある三鷹からは1時間半以上かかるエリアなのだが、4~5回通ってみた。雨だろうが雪だろうが、相手はもともと水に飛び込む種のカワセミだ。

 九州は人吉市の球磨川でさんざんヤマセミを観察して学んだ繁殖期の行動を念頭に、その生態を観察。ここ数日がピークだろうと踏んで雨続きながら桜満開の中通ってみた。

 エリア内の桜が満開に成るにつれ、池周りには人が来なくなったのかカワセミの活性が良くなったようだ。どうやら100mと離れていない赤土崖の土管、あるいは廃屋の附近に巣穴を形成しているようだ。近所の家ネコも徘徊するので繁殖がうまく行く可能性は残念ながら非常に少ないとみている。

 近くに水源や水路が無いだけに、巣立てばこの池周辺でしか子育ては出来まい。非常に前途多難だ。

 とりあえずは雨の中でも活発に活動するカワセミをご紹介。

何故か関東エリアだけけっこうな雨が続く三月後半、今日も雨だ。

さすが水は気にしないカワセミもこの長雨にはうんざりしているようだ。

そんな中でも、繁殖期のオスメスは活発に動き回る。

この日も多分年下の若いオスが小さな餌を持ってメスのもとへ・・。


パッと渡しゃ良いものを、何故かヤマセミもカワセミも時間をかける。

時には綱引きのような事すら見受けられるのは何故だろう?

求愛給餌なった後のオスの「どや顔」、いつも笑ってしまう。

もうそのあとは飛んだり跳ねたり

シャッターチャンスは山ほどあった。

 この雨の中、初めて見かけたカワセミの緊急避難訓練!あのヤマセミの退避訓練行動と全く同様の事を目の前で繰り返され驚いたのなんの!自然番組では最高峰のNHKワイルドライフでもまだ収録していないだろう。いつか収録してみたい。

2023年3月27日月曜日

団塊世代は桜を撮るにも動いている状態を撮りたいのだ。 The baby boomer generation wants to capture the state of movement even when photographing cherry blossoms. 

  桜のお花見に関しては昨日のこのブログで述べたとおりだ。次に桜を撮影したいと思った場合、何をどうやって撮るか?

 もちろん観光客のように桜の名所の賑やかな場面を撮ったりするのも嫌いではないが、絵葉書のような写真を撮るというのは、野鳥撮影の場合で言う鳥類図鑑のような写真を撮るのと一緒だと思う。

 せっかくなら、やはり野鳥と同じく「飛んでいる姿」など何か動いている時の桜を撮りたいと思っている。「晴れた日の綺麗な桜と青空・・。」ではスマホでも撮れるだろう?

 筆者は、動く被写体を撮るのに三脚を使う人を信じられない。野鳥撮影でも一緒。風景写真でも一緒。カメラ危機の手振れ防止機能は一体何のためあるのだろう?三脚があるために場所取りや他の撮影者の邪魔に成ることを理解しているのだろうか?

 特に写真撮影教室などに通った御仁に三脚持ちが多い様だ。それも高齢者に限って・・。

 で、好んで撮るのが風で揺れ動く桜の枝、散り際の花吹雪、夜桜と町の佇まい。

 今年もいくつか挑戦しているが、過去の画像もご紹介したい。

まず、花枝が強風で揺れる姿を工夫して撮ってみる。

同じ強風の日の花吹雪、丹念に突風を待つのが否決

風が無い日でも桜が散る時は一気に雨のように散る。

10年ほど前、神谷町の辺りで・・。

ぼんぼりに灯がともる頃の桜

遠くに町の灯を・・。

六本木ヒルズと毛利庭園の桜、夜景。

神田川の花筏、早稲田附近。

同じく神田川

これも江戸川橋附近

目黒川の花筏。

目黒川の花筏。

2023年3月26日日曜日

団塊世代はお花見という「行楽」に最近疑問を感じて仕方がない。 The baby boomer generation can't help but feel doubts about the "excursion" of cherry blossom viewing these days.

  桜、特にソメイヨシノは江戸末期に江戸の染井村(豊島区附近)に居た庭木師により大島桜とエドヒガン桜を掛け合わせたクローン新種として「吉野桜」というネーミングで生み出されたもの。それが現在都会を中心に広がったソメイヨシノだという。

 何故かこれが気象庁の桜開花の標準木に成ったり、桜にしてはその短い樹齢(80年余)が人間の寿命に似ていること、散り際のはかなさから、人々は桜に妙な親近感を持つようになったらしい。

 そもそもクローンなので、咲くと綺麗だがその花期はほんの2週間。あとの殆どは毛虫やその他の虫が山ほど居付く青葉の季節か、葉が落ちて丸裸の季節が長い樹木。害虫や病気にも弱い。老木に成るとキノコが生えたり樹肌がぼこぼこに成ったりする。

 決して通年で愛でるような樹木ではないが、なぜか全国各地・地元民の行政への注文は公園や川の土手に桜を植えて欲しいというものが多い様だ。これだから日本中どこへ行っても地元の名所は「桜並木」という事に成る。観光ポスターやパンフを見るが良い、どこも一緒だ。

 埼玉県幸手の権現堂堤の桜、此処の場合は9月の曼殊沙華など定期的な効果がある。桜の今の時期は菜の花と共にアマチュアカメラマンだらけ。晴れた日には幸手の駅から大渋滞で、バスや車より歩いて行った方がはるかに早く着く。

 桜を観光誘致の目玉にしたくても、年間たった2週間しか開花の楽しみしかないのをどうやって実利に結び付けるのだろう?梅の方がはるかに花期が長いというのに・・。

 東京で例えれば、上野恩賜公園、千鳥ヶ淵、目黒川、神田川、飛鳥山、桜の名所は山ほどあるが、開花から満開迄そこに集う多くの人は決して桜を愛でに行っているのではない。断言する。特に酒飲みは間違いなく「お花見」を酒を飲む口実にしている。

 江戸時代からある江戸城外堀、その頃軍事施設(立入禁止)の土手に桜はなかった。最近水付き桜を伐採してしまい風情が無くなってしまった。数年待たねば元には戻らない。

 目黒川、地方から来る見物客が多い。桜が無ければ只のコンクリ用水路。ちょっとの豪雨で氾濫警戒水位を超える危ない河川の一つだ。メディアがこぞって報道し仕立て上げられた「桜の名所」だろう。桜の背景は高層マンションやビルだらけ。

目黒川に比べればはるかに歴史と伝統がある上野恩賜公園。人混みが好きな人向け。

吉祥寺の井の頭公園。別に桜の時期でなくても年中混んでいる。

 日本人の多くは人混みが好きなのだ。TVで報じられる桜の名所に皆が行っているから、自分も行かないと仲間外れになった気分になるのだろう。人々がまだ付けているからガラガラに空いている電車の中でもマスクを外せない。外を歩いていてもマスクを外せない・・・。これと全く同じだろうか?「人が行くから行かなきゃ・・。」万博でも映画でも何でも一緒。

 桜のお花見は独自性・個性が無い日本人特有の群集心理が反映されているのだろう。

 都内の桜の名所に行く人々の大半はこれが理由だ。本当に桜を愛でで楽しもうと思ったらそんな処へは行かないだろう?日本人、特に全国から集まった田舎者(勿論生まれは東京でも九州育ちの筆者も含む)で構成されている東京都民は実は桜の楽しみ方を知らない…と思う。

 中でも一番呆れるのが、ダサイタマ・チバラギと悪口を言われる埼玉・千葉・茨城から上京して目黒川や上野、千鳥ヶ淵に来る見物人たち。地元にいくらでももっとキレイな桜の名所があるだろうに?わざわざ東京都心の桜見物に来るのは「仲間に入りたい」「その時だけ東京人に成りたい」のだろうか?

 日本人の殆どは山奥で緑に囲まれた中での桜の美しさ、山藤の美しさを知らない。人工的に造られ、人工的に植えられた桜並木を「お花見」と称してその下で酒を飲み騒ぐ!アルコール分解酵素の無い筆者は大嫌いだ。オリンピックやサッカーワールドカップの日本人観戦者のように、後のゴミを片付けて行けよな?

 メディア・マスコミもそのあたり分けて報道しないで欲しい。片づけて褒めるのも、花見のゴミを放ったらかして帰るのも、同じ日本人なんだからさあ。

 筆者も使うカメラがデジカメに成った2000年頃から野鳥の撮影のついでなどに春先は桜を良く撮影した。都内の桜の名所などの画像を改めて見てみると、時代の変遷が良く判るし筆者自身が歳をとったのも良く判る。その意味からすれば筆者にとって「桜」も我が人生に確実に関わってきたのだとも思うが・・・。

2006年の六義園の枝垂れ桜、毎年保持が大変だろうと思う。

 2006年はまだスマホではないから、ガラケーの端末で写真を撮る人はあまりいないのが良く判る。小型のコンデジで撮影している姿が多い。ピントを合わせにくいのでスマホをかざしながら他の撮影者の前を遮り被写体にどんどん寄って行ってしまう様な馬鹿者は一人も居なかった時代。まだ良い時代だった。この下の画像が何よりの証拠だ。

 先日のWBC優勝した我が日本の侍ジャパンチームが成田空港に帰ってきた際の出迎え客たちの差し出すスマホの凄さ!一種の宗教団体の何かかと思ってしまった。
WBC出迎えファンたち。JIJI.COMより

 それらメディアに載って、これでもかこれでもかと報じられる「桜の名所」に行くより、自宅近所やマイナーな場所で桜の名所を探したらどうなの?というのが筆者の提案だ。
 
石神井川沿いも桜の隠れた名所

神田川の江戸川橋~高戸橋辺りも目黒川などよりずーっと趣がある。

北関東の寺院などは桜の名所が多い

多摩地区に多数存在する大学構内も桜が多い。

 中でも三鷹の国際基督教大学の正門からバスの終点までの並木は有名だが、コロナ過の規制が終わったというのに、この基督教大学は未だにコロナ過以前のように散歩などで自然を愛でていた地元の人々を入れない。通り抜けも許さない。

 皇族の子弟が学んだという事で偉そうな対応が目につく。聞くところによると、特にこのキャンパスの守衛の偉そうな上から目線の物言いは近所住民の顰蹙を買っているようだ。

 海外からの留学生が多いが、主に車が右側通行の国から来た留学生たちの自転車マナーが非常に悪く、買い物帰りの高齢者にぶつかったり引き倒したりして問題になっているようだ。筆者もジモティだけに気に成る所。