日本チームがヨーロッパの超強豪ドイツとスペインに逆転で勝ったワールドカップ・カタール大会。
単に勝った負けた、予選を突破した!とスポーツバーで騒ぎ、東京渋谷のスクランブル交差点に繰り出しワイワイやる「サッカーから騒ぎ」する連中。またそれを「盛り上がっている」と針小棒大に報道するメディア・・・。
単にメディア報道を一般的に見ると、今までのワールドカップとそれほど違わない感じがするだろう。スポーツそのものにあまり興味が無い人、サッカーは好きだし詳しいが、見るだけで過去に自分でやったことが無い人においては特にそうだろうと思う。
しかし、筆者は今回のカタール大会はサッカーの世界が大きく変わった大会と認識している。連日予選リーグを見てそれが終了しベスト16か国が決まった今、確信に近いものを持ち始めている。
① あのワールドカップ常連国イタリアが大会そのものに出場できなかった。
② 予選リーグで3戦全勝した国が一か所もなかった。
③ ヨーロッパの強豪ドイツ、ベルギー、南米の強豪ウルグアイが予選で敗退した。
④ FIFAランキングで相当下位チームが優勝経験あるチームを破る下克上が続出。
⑤ VARにより、「疑惑の勝ち負け」が無くなった。
⑥ 女性審判員(主審含む)で試合が運用され始めた。
・・・、これらは一体なぜこうなっているのだろう?
筆者は大会が始まってしばらくして、日本がドイツに逆転勝ちした瞬間それのヒントが頭に浮かび色々調べ始めた。「日本は何故ドイツに勝ったのか?」
答えはすぐにわかった。ドイツに日本が勝った日のFacebookに筆者自身書いている。
「サッカーをやったことがある人もない人も、今朝は日本人全員がサッカー評論家に成っていることだろう。
筆者は大学時代4年間サッカーボールは蹴っていたが、この先はあくまで今のサッカーは当時とは全く別のスポーツだろうと思っている私の個人的見解・・・・。
10年以上前に活躍していた元プロ選手や監督がドイツ戦直前にメディアで盛んに「予想」をしていたが、あくまで「予想」ではなく、単なる「期待」だったことは周知のとおりだ。
三苫が凄い、鎌田が凄い…など個人への期待もあるだろうが、私思うに奥寺に始まり、三浦、中田、長谷部などヨーロッパへ武者修行に行き始めた日本人の努力が今やっと実を結んだのだと思う。あの奥寺が西ドイツ1FCケルンへ渡ったのは1977年だ。プロ野球の野茂英雄がドジャースへ移籍した1995年より15年以上も前の事なのだ。
現在ヨーロッパで戦っている日本人選手は60名もいる。ドイツ・ブンデスリーガでは何と10名も戦っている。これが今回の勝因につながっていると解説したサッカー関係者はまだ居ない。(注:11月24日時点)
私は特に対ドイツ戦においてこれが大きな効果を上げたのだろうと察する。
まず、ドイツリーグの日本人選手たちはドイツ流のサッカー戦術、ピッチでの鉄則、常識、周りを囲まれた時の癖、を身をもって毎日体験している事。次に普段の練習の中からドイツ語(もしくは英語)をある程度理解出来ているので、試合中敵の選手の動きを会話の中から読めただろう。
このあたりの効果に注目するメディアはまだない。当のサッカー関係者たちもこの効果の大きさには気が付いていないのではないかと思う。
同時にこの記事の様に森保監督の思い切った作戦切り替えが敵の守備の乱れとマーク混乱とを引き起こした・・・と後半を観ながら思った。これなどもドイツブンデスリーガで活躍する選手たちからの情報を信じた森保監督の人柄と知恵だろうと思う。
いわば日本はドイツ戦に勝つためにブンデスリーガにスパイを数年掛けて送ったという事だろう。そういう意味からはドイツ戦攻略の戦略は時間をかけて成功したのだろうと思う。
次回以降、コスタリカ(0)やスペイン(3)で戦う程度の日本人情報がどれだけ作戦面で生きてくるか?楽しみだ。
メディアも渋谷のスクランブルやスポーツバーで盛り上がって騒ぐだけのバカやその混乱状況ばかりを報道せず「本筋」を分析報道してほしい。
しかし、2点目浅野のシュートを防げなかったノイヤーの動きは一体どうした事だろう?名手ノイヤーをスピードと気力で破壊した浅野の力なのか?これでノイヤーはショックのあまり引退してしまうのではないだろうか?ちょっと心配。」
‥‥これがドイツに勝った翌日の筆者のFacebook投稿だ。
名手ノイヤーの心配までするほどドイツチームが落ち込んでいる様子がSNSなどで痛いほど分かった。この辺りも昔は無かったことだ。
昔と言えば、1969年~1972年の4年間横浜国大・体育会サッカー部で連日ボールを蹴っていた。神奈川県知事杯優勝、関東甲信越大会優勝、1971年和歌山国体神奈川県代表権獲得などある程度はレベルの高い(あくまで当時)世界での経験があった。横浜は外人たちのクラブも多くYCACやMisson Seamen's clubなど外国チームとも結構試合をやった。
東京12チャンネルの三菱ダイアモンドサッカー全盛期で、英国のサッカー(現在のプレミアリーグ)を狂ったように見て学んだ頃だ。ジョージ・ベスト、マーチン・チバース、ジョフリー・ハースト、ボビー・チャールトン、ボビー・ムーアなど英国選手にあこがれた時代。
サッカーの基本が3B(ボディー・バランス、ボール・コントロール、ブレイン(脳)と言われた西独クラマーさんのサッカー教育時代から、3S(スピード、スタミナ、センス)に替わり始めた頃だった。
ちょうど大学3年の終わりころ、英国へ短期留学しロンドンで生のサッカーの試合を4試合も観たが、あまりの日本との差に腰を抜かしたものだった、そのレベルの高さも応援文化も。
まだ黒人の選手が一人しかいなかった頃の話。
1階席は全員立ち見と知ったのも驚きだった。
チケットは当日も買えた。
賭けの予想屋が沢山いるのにもびっくりした。いずれも1972年Canon FTbで撮影。
その時代から、ストライカーの得点力(ジョージ・ベスト、ゲルト・ミューラーなど)に頼る従来形からヨハン・クライフ率いるオランダの全員動き回るスタイルに変わり、またスーパースター(マラドーナ、リバウド、ロナウジーニョ、クリスチャン・ロナウド、メッシなど)に頼るスタイルに戻った。
しかし今回、そういったスーパースターに頼るスタイルから作戦で勝つスタイルに変わりつつある。よくサッカー解説で「戦術」という言葉が使われるが、クラウゼビッツの「戦争論」から派生した「戦略・戦術・作戦」という用語でいえば、サッカーの戦術はあくまで作戦という用語に近いとみている。基本的に戦術とはどういった兵器を使うか?という意味で使うのが本来の使い方だろうと思う。
今回の日本の森保監督のように、前半ある程度の動きで相手を慣れさせ、後半スピードと突破力のあるメンバーを投入し、敵のマークと動きをかく乱させるのは作戦であって戦術ではない。
戦術というのはフォワードとミッドフィルダー全員を190㎝以上の長身選手でそろえるとか、全員100m11秒台の選手で戦うとかの物理的優位に立つメンバーで行くことを指すはずだ。
笑われるかもしれないが、さらにはルールに抵触するかもしれないが、日本チーム全員が前田大然選手の様なスキンヘッドにして、背番号を見なければ誰が誰だか分からなくするとか、ユニフォームを亀甲柄のサッカーボールの水玉模様にして目をくらませるなども戦術という事になるはずだ。
ベスト16の戦いは負ければおしまいのトーナメントだけにこれからは実力差というより時の運。 相手との相性があるから、日本はドイツやスペインに勝ったような感動は得られないかもしれない。あくまで勝ち負けの喜びだけだろう。
しかし日本のサッカーのレベルがやっと世界と肩を並べられた意味で今回のワールドカップは既に大成功だと思うが如何だろう?