筆者は車の免許を一般的な年齢をはるかに過ぎて37歳で取得した。それまで取らなかった理由は色々あるが、取るきっかけになったのはウインドサーフィンだった。
32歳くらいから夢中になったウインドサーフィンは結局57歳くらいまで25年間続けたことになる。当初は車の免許を持っていなかったので、葉山森戸に艇庫を借り台車に重たいボードを乗せて運び終われば艇庫に戻すなど、やり始めの頃は大変面倒くさく重労働なスポーツだった。
さらに、風向きで葉山森戸海岸には全然風が入らない時があった。西に開けて正面に富士山、やや右に江の島が見える絶景の葉山森戸神社裏の岩場に、猫の額ほどの砂地+岩場がベースのウインドサーフィン。・・なので東風は三浦半島の背骨の山並みにさえぎられて完全に無風になる環境だった。
そんな東風の強い日、車で都心と往復するメンバーの一人が三浦半島の逆サイト東側の三浦海岸でウインドに乗って楽しんで来たらしく「シンジョー!良かったよ、三浦」
この一言がきっかけで「くそっ!免許取るぞ!」と教習場に通い始めたわけだ。時は1986年1月。教習所の待合室、早朝の臨時ニュースで観たスペースシャトル・チャレンジャー号の事故のショックは強烈な記憶として残っている。
もともと山奥でのイベント開催時やハワイ出張の際は、酔いつぶれたメンバーを乗せて結構無免許で車を運転していたので、運転免許取得までの教習所通いは最短の時間でOKだった。今はもうない大崎の国際自動車学校だったので、第二京浜国道や目黒通りなどが練習コースで、都内でも最も交通量の多い場所だった。だから取得後どんな混雑した場所でもビビったことは無かった。
晴れて免許を取得した翌日(当日だったかもしれない)、小平のホンダで中古のシビックカントリーを購入、運転して三鷹の自宅まで戻りウインドサーフィンを積んで一人で三鷹から鎌倉由比ガ浜で運転した。そのまま第三京浜を走って開催中のウインドサーフィン大会=フロムエーカップの会場へ乗りつけてスタッフに驚かれたものだ。
それ以来37年間、なんとか無事故無違反で今日まで来ている。先日は70歳以上の高齢者講習へ行ってきた。動体視力や視野は全く問題なかった。
しかし、年間33,000㎞を乗り回した長野オリンピックまでの時期を境に、団塊世代は70歳を越えて奥日光や長野へ行くなど以外、自宅三鷹エリアでは以前ほど車に乗らなくなった。ヤマセミの観察で南九州へ行った際のレンタカーの方がはるかに走行距離が長いという時期が10年も続いた。
ここ数年、三鷹の自宅から自分の車で北海道へ、東北へと足を延ばし、九州往復も2回行ったが、東京都内・近郊ではほとんど乗ることはなくなった。せいぜい1~2泊で片道250㎞程度の往復くらいばかりだ。税金やメンテ費用を考えたとき、費用対効果の面で完全に必要な都度レンタカー使用の方が経済的だ
そんな訳で使用頻度が大幅に下がり、バッテリーが上がってしまったり、屋根付き車庫なのに風雨で飛んでくる埃がたまって車が泥だらけになることもしばしばだった。
さらに多忙で車への注意がおろそかになった今月10日、車検が9月で切れていることに気が付いたのだ!従弟の法事や車の高齢者講習、歯医者、写真集編纂などで車検更新のことをすっかり忘れていたのだった。
さあ困った、どうしよう!
そこで自宅から近い(直線距離300m)車のディーラーへ電話して、どうしたら良いか聞いてみた。電話口に出た女性に事の次第を話すと、「移動させるについても当社ではどうしようもないのでJAFに連絡していただければ?」との冷たい対応だった。
で、JAFに電話すると今度は「壊れていない車、動く車への対応はいたしません!」とケンモホロロ。その挙句に「有料になりますが、別会社でレッカー会社をご紹介できます」と言うではないか。有料レッカー車など費用は数万は下るまい。
で、懇意にしている自動車修理専門店へ電話してみたら「簡単です!市役所行って仮ナンバー貰ってそれ付けて当社まで来てくれれば、すぐ新しい車検取れますよ!」だと。
なんでディーラーのカウンターやJAFでそれを教えてくれなかったのか?未だもって不可解だ。自宅からディーラまでは徒歩10分、市役所までは徒歩20分。すぐだ。
15年ほど前バッテリーが上がったので、そのディーラーに電話したら2名スターターをもって駆けつけてくれたのに、今回も何か良いアドバイスを得られると思ったのが間違いだった。残念だが時代はもう変わっていたのだ、…悪い方へ。
車を売ることに関しては、あるいは自社の新型車の性能に関してのPRはセールストークがペラペラなのに、客対応の窓口業務をつかさどる者がそのユーザーが陥った各種(と言ってもそう多くはない)トラブルに対処する方法を知らないというこの事実は一体何なのだろう?
ユーザーが陥るトラブルをリストアップし、それぞれに対するメーカーとしてのアドバイスくらいデーラー窓口担当者は知っておくべきではないだろうか?費用の有無を含めて。
マニュアルすらないのだろうか?100万、200万を超える高価なものを売る一方で、それを運用するユーザー側に立ったソリューションが確立していないこの事実。今後のメーカー動向を注視したい。ユーザーサービスとは値引きやおまけを渡すことなどではなく、困ったときの良き相談相手に成ることではないだろうか?
若者の車離れが顕著な今後、自動車がEVに行こうが、ハイブリッドを続けようが、はたまた自動運転に進もうが、購入してメンテしてトラブル回避への不安を持ち続ける消費者側の心理をメーカー、ディーラーが知らないのは少々まずいのではないだろうか?
で、実際、市役所に仮ナンバーを申請し貰って、車に取り付けて運転し仮ナンバーで運転できることを教えてくれた車屋さんへ車検を取りに行った経緯をご紹介。