2021年11月23日火曜日

団塊世代は豪雨災害の後の球磨川流域情報に憂える。 The baby boomer generation is worried about the Kuma River basin information after the heavy rain disaster.

  昨年7月4日の球磨川流域大水害の後、官民合わせて復旧作業に追われている状況は地元地方紙やネット情報で手に取る様に理解できている。

 一般的に、その地元住民ではない限りこういった自然災害はニュースの報道量が減るにしたがって「のど元過ぎれば熱さ忘るる」の言い伝え通り、残念ながら他人事で終わってしまう。これはある面当事者ではないので、致し方がない事だろうとは思う。

 しかし筆者、球磨川流域に関しては下流部の八代市で12~13歳の頃、十条製紙の社宅で地元住民として過ごした経験がある。だから太田郷小学校卒業生だし八代市立二中に在学していたので八代駅前珈琲店ミックのマスター出水さんの後輩だ。それにここ10年前からはヤマセミ観察撮影で東京から人吉市に50回以上通い300泊以上しているので、昨年の事は決して他人事ではない。

 13歳~17歳時には単身東京で生活していたものの、長期休み毎の帰省時に八代市内の十条製紙福正元町社宅で球磨川、水無川(日置川)氾濫の床上浸水洪水も二回体験している。

 更に今回は人吉市で多くの知り合い、お世話に成った方が酷い被災をされ、怖くてとても言葉も掛けられないほどの気の毒な気持ちが未だに癒えない状況なのだ。昨年の7月以降現地には一度も足を踏み入れられないでいる。もちろんこれはコロナ禍の影響も多分にあるが。

 この災害、1年が経って地元の方が毎日送ってくださる地元紙中心のメディア・クリッピングから色々な情報が入ってきている。ネット検索でも事細かに、このあたりの解説情報なども入ってきている。

 これらを精査し、メディアの性格、地元の風潮・県民性、報道の質、情報根拠などを総合的に分析し、自分なりの考え方を述べてみたいと考えた。

 かって2003年頃、八代市役所にご縁があって球磨川河口部の八代市の観光中心の活性化案を検討するプロジェクトに、大手広告代理店から参加させていただいた。三年連続でJR九州エリア1位になった駅弁・天然鮎甘露煮入りの「鮎屋三代」を生みだすスタッフとして、あるいは九州新幹線部分開業記念で八代市PRの写真集制作(筆者撮影)、旅行雑誌「じゃらん」で八代市特集実施、熊日新聞で八代市特集30本連載(筆者執筆)を組むなど、数々の展開をお手伝いした。同じ球磨川繋がりの昨年豪雨災害、甚大な被害を被った八代市坂本町含めて今後へ深く心配・苦慮するのは当然だろうと思う。

 これらの経験値から、昨年の大災害後の「人吉球磨エリア」に関する私見を、ここ数か月のメディア情報、あるいは地元で被災された友人・知人からの直接情報を加味して述べてみたい。

 このブログがよくある単なる想像や一時的な憶測で軽々に述べているのではない事をお断りしておきたい。

 筆者は昨年7月4日の惨事以降、このヤマセミWEBブログで20数回以上洪水に関しての投稿を行っている。思い入れが深いがための、のめり込み方だった。

 http://yamasemiweb.blogspot.com/2020/08/consider-restoration-of-hisatsu-line.html ※緊急投稿!球磨川沿いの肥薩線の復旧を考える。その1.2020年8月25日~その15.2020年9月15日。15回連載。

 http://yamasemiweb.blogspot.com/2020/10/4consider-restoration-of-new-hisatsu.html ※川辺川ダムがあったとしても洪水は起きた。2020年10月10日付

 http://yamasemiweb.blogspot.com/2020/07/i-discovered-amazing-fact-when-bank-of.html ※バックウオーターによる決壊。2020年7月5日付


 今、1年以上経ってメディア報道を見ている限り、どうもピントが外れすぎ、しかもスピードがノロ過ぎる歯がゆさを感じざるを得ない。

 http://yamasemiweb.blogspot.com/2020/08/7-1verify-kuma-river-july-heavy-rain.html

 まずこの上のURLをクリックして、昨年当時の投稿を見て欲しい。人吉郊外で合流する球磨川本流とほぼ同じスケールの川辺川。現在流水式穴あきダム推進がとやかく言われているが、その川辺川ダムが出来て関係するのは、そのダムより川辺川上流部の豪雨だけだろう?

 球磨川には市房ダムがあるから良いと思っているのはド素人で、二本の川の合流部より球磨川上流部で市房ダムまでの間、錦町、相良村、あさぎり町、多良木町、湯前町の球磨川両サイド、特に白髪岳付近で豪雨が降った場合どうなると考えているのだろう?過去には色々な場所で豪雨が降っているデータもあるではないか!

過去の球磨川流域での豪雨データ。決して川辺川上流部だけで降雨量が多いわけではないという証拠。
 球磨川の川辺川合流部より上流で、市房ダムより下流部人吉盆地中央両サイドで豪雨が降ったらどうなるのかの検証が全然なされていない。川辺川ダムを造っても、市房ダムがあっても全く意味がないのだ。ダムさえできればと言う国交省や学者たちの考えはあまりに単純で無能に近いと言って良いだろう。

 一方で「川辺川ダム反対!」を叫ぶ市民団体もあまりにロジカルでない。感情面が前に出たスエーデンの環境団体の雇われシンボル=グレタ・トーンベリ嬢の鬼の形相アピールとあまり変わらないような気がする。デモ行進より環境討論会・シンポジウムを開くべきだろ
う。
デモをすればするほど、特殊な人達と見られかねない。戦術を変えるべきだろう。

 現存の市房ダムもいつ出来るか判らない穴あき川辺川ダムも全く意味がないのだ。国交省なり、県の意見界会議出てくる学者たちも、こんな単純な「今そこに在る危機」に関して全く討論すらしないのは何故なのだろう?

具体的にデータを示しつつあらゆる想定を一般人にも判りやすく解説が必須だろう。

 昨年、熊日新聞が被災地区それぞれの雨量総数のデータを発表報道した。これをもう一度色々な降り方のケースごとにシミュレーションして、防災を考えるべきではないのだろうか?

 人間の出す二酸化炭素が主原因か否かは別(確固足る証拠がない)として、地球温暖化により台風は大型化し、豪雨災害は今後も間違いなく急増するだろう。昨年のヨーロッパ各地の大洪水、中国奥地の大洪水を視れば、球磨川流域の豪雨も年を追って酷くなろう。

 昔富山湾で獲れていた脂ののった大型のブリが海水温の上昇で、今や青森沖や北海道沖で豊漁だという。サンマはもっと北へ上がってしまったともいう。自然の変化はのんびりとした人間の豪雨対策をはるかに凌ぐスピードで迫ってきているのだ。

 今まで住んでいた所に戻りたいだの、かさ上げしてなんとか昨年の洪水が来てもしのげるように・・などと自分の都合の良いようにしたいなどと言っている場合ではない事に早く気付くべきだろう。

元の場所へ・・・は、気持ちは分るがあまりに現実を甘く見ているような気がする。

 オランダでは洪水に見舞われた多くの世帯が場所を変えて高台に移住し始めている。遥かに危険な峡谷部の球磨村、洪水ハザードマップで3m以上の危険地域の住民・街は早急に自分たちで出来得る限りの具体的対処法を考えるべきではないだろうか?

 住みやすさや先祖代々の地だとかより、地球の自然環境・気象が変わったのだ、命の危険が数百倍に変わったのだ、冷たい様だがもっと厳しく現実を観るべきではないだろうか