今日の朝刊も観光再生はそうたやすくないと報じている。
いくら自治体や観光関係の業界がいきなり「もろ手を挙げて歓迎します!」と言っても、そのエリアの住民(コロナに対する警戒心はまだ解けていない)たちが同じように歓迎するとは普通だれも思わないからだ。それに6月19日に県レベルの自治体を跨いで移動解禁などという規則には、実は何の医学的・合理的根拠もないのだから。
温泉・名所旧跡などで今まで観光客を呼び込んできた所は、日本中の競合相手が皆同じように必死で経済回復・観光客誘致に努めている事を忘れてはいけない。
受け入れる自分たちの立場の感覚・都合だけで「往来が自由に成った、制限が解除されたから来てください」だけでは観光客たちは決して良い顔をしまい?「制限が解除されたから来ても良いよ!」くらいにしか受け取らないのが普通だ。
今まで、来てほしくない、来ないでくれ!と言っていたのが、手のひらを返したように作り笑顔で媚を売る・・・。全国の客は白けて日本中の観光地の「歓迎・呼び込み」を視ているだろう。
今朝のテレ朝・羽鳥慎一モーニングショウでも、感覚的に鋭い長嶋一茂が筆者と同じことを言っていた。いくら県を跨いで解禁に成ったとはいえ、地元の人間は一番感染者数の多い東京(実は人口比率から言えば非常に低いのだが)から来た人間に対して、コロナウイルス警戒心が無くなっていないから、歓迎などしないだろう・・・?そんなとこへ行きたくない…と言っていた。
県や自治体がそういう地元民への歓迎促進、排他的行為の禁止・おもてなし啓蒙を行わない限り、しばらくは観光旅行は厳しいはずだと思う。人の心はそう簡単に元へは戻らない。高いお金を払って、嫌な思いはしたくないのが人情だもの。
此処に、ある非常に客の心理を判った観光地の動きがある。それは一通の封筒だった。いわばDMだ。20年ほど前仕事で外人客を案内した温泉地の宿からだった。なんと!その旅館の女将さんと地元の役場の村長さん連名の手紙が入っていた。顧客管理をしっかりとしている事にも驚いたが、旅館と自治体の首長が連署・旅館前での写真入りというのが気に入った。それだけの手間をかけていることが非常によく理解できた。
その手紙には、まず首都圏東京の客に対してのコロナとの闘い、不自由な生活、自粛の大変さ、辛さ、溜まったストレスへのお見舞いとねぎらいが書かれていた。その大変さは毎日ニュースで注視・心配していたという。
その上で、そのストレスを癒すために是非我が村の温泉で「湯治」をなさってくださいという内容だった。自分の村のコロナウイルス禍での経済的被害や辛さは一切述べず、どのような特典が用意されているなどという馬の鼻面にニンジンをぶら下げたようなこともせず、封筒に入っていたのは、たった一枚の気の効いたその村の風景写真だった。
この「心で来訪・湯治を訴える」ことを出来るのは、料理の皿の数を誇ったりするような脂ぎった客寄せ方法しか知らない温泉地にはない奥ゆかしさだろう。果たして日本のどれだけの観光地にこれを判る知恵者が居るだろうか?
一方で・・・。
メディア・マスコミはテレワークだの在宅ワーク、あるいはリモートワークだの喜んで横文字を使用している様だが、まるでそれが普通のあたりまえな今後のビジネス方法・仕事方法だかの様に報じているがとんでもない事だ。
一般的な会社の例(例えば広告代理店やアパレルメーカー)でいえば皆の顔を画面に並べて何か言い合うのは部会や局会、あるいは上意下達の場ぐらいでしか普通はあり得ない。このあたりは数週間前、このブログでも述べたとおりだ。
http://yamasemiweb.blogspot.com/2020/05/emergency-report-what-will-happen-to.html
そんな感じで、テレワークがそれほど簡単にできる訳がない理由、一般的でない理由を仲間と話し合ってみて、いくつかの具体的反応が出て来たのでご報告。
まず、一番多かったのが普段6名、あるいは10名もの相手の顔や目を見ながら打ち合わせなどしたことが無いのでテレワークは非常に妙な感じだという事。
それに普通会社に出勤していて会議室で会議をしたとしても、嫌な奴とは目も合わせないし、口も利かないのに、テレワークだと分け隔てなく色々な奴の顔が出てくるので気分的にリラックスできないという事。会議室で全員が自分の顔・眼を見てきたらビビるだろう?という笑い話のような意見もあった。
更には、3時間おきに「今何している?ちゃんとデスクの前に居るか?」なんて管理者にチェックされるなんてとんでもない・・。」というのが一番大きいという声があった。
そういう管理職・上司って1日の仕事って部下がパソコンの前にちゃんと居て仕事をしているかの監視なの?情けなさすぎないか?というものもあったし、そんな管理職に自分より高給を与えるなんて許せない、そんな監視はAIでも出来るだろう?という事だった。
今までのビジネススタイルでは、朝出勤する前にいろいろ立ち寄って打ち合わせしたり、得意先に寄ったり、下請けのプロダクションに寄ったりするのに、そういう現場が無ければ仕事に成らない部分が多いので、デスク・在宅でなどできないという事だ。
要はテレワークなど週に数時間しかやる必要も意味もないのだという。経理だとか人事だとか業界が変わってもやることは同じ、そのうちすべてAI・ロボットがすべて代行できてしまうような歯車的な職種でない限り有り得ないという事だった。
株のトレードだの、お客様サービス対応だの今までも液晶端末の前ですべての起承転結が済んでしまうような職種でない限り、リモートワークで終わるような仕事は多くないという事だった。
コロナのおかげで、テレワークが本当に一般的に成るのであれば、オフィスの需要は一気に無くなるはずだろう?そうなったら東京都心のオフィスビルはガラガラになろう?ビル経営者の自殺、ビル管理会社の倒産が始まるはずだ。デべロッパーで第一人者の森ビルのオーナーなど真っ青なはずだろう?本当にそうなのか?
さらに言えば、オフィスワークが無くなってテレワーク主体になったら、オフィス用のOA機器メーカー、パソコン関連IT機器メーカーは軒並み需要減少で痛手は半端でなくなる。同時に今まで会社組織でオフィス運営の任にあった「庶務・総務」などは不要となり職を失う人間が大量に出てくるだろう・・・もし本当にテレワークで仕事が出来るなら。
一部のテレワークで済むような職種のビジネスばかり追いかけて、まるで世の中のビジネスマンがすべてテレワークで仕事が出来そうな報道をするメディアのいい加減さが目に余る。これからの世の中がそんなに簡単に在宅だけで出来るのであれば等の昔にしているはずだと何故気が付かないのだろう?
同じようなピントの外れた報道に、三密の典型的な接客クラブやホストクラブ、はたまたライブハウスの類。どうして終息まで2~3年以上はかかると言われている新型コロナウイルス禍なのにこういった三密商売をそのまま継続しようとするのだ?あるいはさせるのだ?こんなものいくら補償しろと言っても限度があろう?
大体、水が枯れて田んぼに引けないと判っているのに、強引に稲作を続けようとしているのと同じだろう?川が干上がって水が無くなっているのにアユ漁を続けようとするに等しいだろう?毎日海が荒れて出港できないと判っているのに、漁業を続けようというのと変わるまい?そんな者達への補償にいつまでも血税をバラまくんじゃないと言いたい。
メディアは今一度自分の目で現場に出て取材して生の報道をしてほしい。ネット記事をたくさん見てコピペしたような記事が本当に目立つので腹立たしい。