その時は単純にカワウの大群が押し寄せたのをサギ達が餌場を荒らされたと腹を立て対立をしているくらいにしか視なかった。黒いカワウ80羽程の群れに対して、ダイサギ、コサギ、アオサギの50羽ほどの群れがワンワン集っているのだった。
球磨川野鳥界の年次総会かと思う程だった。過去5年以上球磨川でヤマセミを観察していて初めての現象だった。
動画でも収録、ご参考
https://www.youtube.com/watch?v=vKJEWPGdwyQ
さすがに球磨川、野鳥が多いなぁ・・・観た当初は感心するだけだったのだが、4年後、同じ球磨川の別のエリアで少数のカワウとコサギ、ダイサギの群れが同居している場面を観察撮影して驚いた!
数羽のカワウが岸沿いで小魚を採餌した直後、岸に陣取っていたコサギ6~8羽が水際で盛んに小魚を突いていたのだ。
・・・という事は、あのカワウ80羽の大群が騒いでいた球磨川の瀬でも同じ事が大々的に行われていたに違いないのだ!そうではないという明快な証拠でもあれば別だが、映像を見る限り他の理由が出てこない。
更に詳しく画像を精査すると、単純にカワウがかき回した水中の小魚たちが岸方向の浅瀬に逃げるだけではなく、コサギがカワウの潜る真上を何度も飛び交って影を作り、更に小魚たちをパニックにさせていることが判明した。
単純にサギ類がカワウのおこぼれを岸辺で待っていて頂戴しているのではない事が見えてきた。正確には水中撮影をして証拠固めをしなければならないのだが、個人観察レベルではこれが限界・・・。
水中の魚が水面を羽根を広げて舞うダイサギやコサギの影におびえてパニックを起こし浅瀬へ逃げ、水面に跳ね出て来る。
これは、幾度も別の機会にコサギやダイサギが単独もしくは2羽で羽ばたきながら円を描き採餌するシーンで撮影しているので間違いない。
要は、子供の頃から知っているイソギンチャクとクマノミの様に単に傍で生活をする事により身を守っている「共生」とはいささか違う。お互いに何か具体的な貢献行動をし、協力し合って「採餌」という結果を得る「共創」に近い形ではないだろうか?
例えば、カナダ沖やアラスカでクジラが海中から円を描いて泡を出し、それに追われたイワシやニシンの群れが水面近くに集まった所をクジラが一気に大口を開けて丸呑みする際、アジサシの大群がダイブして便乗採餌するのとは訳が違う。カワウもサギたちもそれなりに具体的な役割を果たす点でユニークだ。
此処までは2013年11月末の球磨川本流。カワウとシラサギ(ダイサギ・コサギ・アオサギ)の大群同士の大集団。球磨川でも非常に珍しい。過去300日程の滞在でたった一日の経験。
この先は同じ球磨川でも2017年全く別の場所、季節は真冬の1月。
全ての画像でコサギなどがカワウの上を飛び回っているのが見えよう。
カワウが水中から、コサギが上空から小魚を岸へと追い立てている。
小魚の群れが岸に近くなると、ダイサギ・コサギ達がき採餌している。