調べたらSDカードを入れるソケットの底の金属爪が折れて壊れたそうだ。数年前SX700の時にも似た様な症状があって、新宿(今は閉鎖して無い)の店頭で簡単に治ったのが、今回はなんとそれを修理できないという。
此処で筆者のカメラに関する歴史をご紹介。
親から譲ってもらったドイツ製蛇腹カメラの名機カールツァイス・スーパーイコンタで筆者の写真歴が始まった事は、このブログで幾度となく述べて来たことだ。
中学2年で単身上京し、親類の家に居候して世田谷の奥沢中学校へ通う頃も遠足・修学旅行とこのブローニーフィルムを使用する蛇腹のカメラを誇りをもって使い続けた。
筆者は高校~大学へ進むにつれ、鉄道写真(SLブームの数年前)や普段のスナップ撮影に興味を持ち始めた頃、これも父親のキャノネット、辺りから35mmフィルムカメラへ移行し1971年にはCANONの一眼レフカメラCanon Ftbブラックボディに到達する。レンズは55mm標準とFD100-200のズームレンズを購入。
Canon Ftb 1971
それ以来、現在に至るまでカメラはCANON製品で通している。FTb~AE1~F1.サブ機でT-50、T-70、初期のKiss。デジタルに移行後は一時オリンパスを使用、E-10,E-3、しかし野鳥の撮影に入って以降Canon EOS7D, 7DMarkⅢ、EOS5DMarkⅢ,1Dx,とメイン機種はCanonを使い続けてきている。
サブ機としてのコンパクトデジタルカメラ(以降コンデジ表記)
はオリンパスC-900(1998年)パナソニック LUMIX DMC-TZ3通称「きみまろズーム」を使用後、CanonのPowerShotシリーズに移行。
SX700sh~SX710sh, SH610sh等を使用し続けている。
此処で本題に戻る。
この様にCANONとは随分長い付き合いだ、しかしこのPowerShot SX700シリーズにはハッキリと大きな問題点が在る。現存使用機種3種、SX700sh,SX710sh,SX610sh,いずれも共通して機械的に弱い所があるのだ。
価格ドットコムでは既にディスコンのSX700が高いがそれなりに名機なのだと思っている。新製品が出る都度何故かカメラ本来の部分で秒間コマ数が減少したり機能グレードが下がるのはどうしてもいただけない。Wi-Fiでデータを飛ばせるだの単純に撮って記録する以外の余計な付加価値のお陰で基本的な部分がおろそかになるのは何とも腹が立つ。
画素数、手ブレ防止、秒間コマ数、本来のデジカメとしての機能はどのメーカーも似たり寄ったりだと思う。カタログの仕様書や性能比較サイトにおいても費用を掛けた宣伝合戦程の優劣はデジタル部門においてあまり感じられないと思うのだ。
しかしこのシリーズ、SDカードのソケットのアナログ機械的耐久性と使用頻度に対する強度が非常に弱いのだ。現行3台のうち故障しなかったものはない。すべてで不具合が生じた。そうしてついに先日最初のSX710shのSDカードソケットの底が壊れた。最初に購入し使用していたSX700shも使用2か月ほどでSDカードが「カチッ」と固定されハマる音がしなくなった。未だ当時あった新宿のサービスセンターへ持って行ったところ、その場で裏の検査室なのか修理室で治って無償で返してくれた。たぶん相当簡単な事だったのだろう。
これってSX700sh(秒間コマ数8.5)が修理不能で機種交換に成った場合秒間コマ数がレベル低い新しいがグレードのダウンしたSX720shなどに強制的に替えられてしまうのだろうか?
此処にCanonの大企業になってしまったが故の消費者を上から見下ろした驕りが感じられてカチンときた。「わが社は金属の爪が折れたのをいちいち直していられない、効率を考えれば新しいモノに全とっかえしてクレーム処理すれば喜ぶだろう。市販実勢価格が2万5千円以上するんだから、1万円程度払うのは消費者は苦にならないだろう・・・。」
Canonの窓口対応者の丁寧な対応の言葉の端にこれが感じられた。窓口担当者の対応態度に一切不満はない、彼女を通したCanonの企業姿勢に非常に嫌なものを感じたのだ。
1万円と言えば本体の生産原価以上の金額だろうと思う。流通・運搬・宣伝・包装コストと利益がそれに乗っかり販売価格になっているはずだから、基本的に本体原価は35%以下であるのが一般的製造業の常識だ。
一度ある事は二度あると思うから、こういう対応をされた一般人は1万円払って本体を新しくしてもらう事に、そんなに喜びと感謝は感じないのだ。ましてやCanon本体は少しも損をせず、「申し訳ない、ごめんなさい、:これで許してもらえますか?」という気持ちが感じられないのだ。普通なら次は「Canonは壊れやすいからNikonや別のメーカーのカメラを買おう。」となるだろう。
消費者は画素数が高いから買うとは限らない、筆者は光学倍率と秒間コマ数が優れているからこそ野鳥撮影の常時持ち歩きように購入しているのであってスペックには大きな意味が存在する。
細かい事はさておいて、デジタルの細かい所の技術は素晴らしいに違いないし、他メーカーとしのぎを削って争い、良い製品へと進むのは判るし良いと思うが、それだけ良いデジカメを消費者がどれだけ使うか、どれだけSDカードを出し入れするか?その耐久試験はどうなっているのかと訊いたら、品川のサービスセンターでは一眼デジタルのシャッター耐久回数試験のような事はやっていないとはっきりと言われた。
つまりキツイ言い方をすれば、デジタル機のを向上させ宣伝文句に反映しやすい部分を改良し、消費者が買ってさえくれれば、その耐久性など気にする気はない・・・という事なのだろう。メディア(=SDカード)の出し入れの耐久性が高まりました・・・などという宣伝文句は自社製品の購買意欲向上には繋がらないと思っているのだろう?
しかしCANON設計者さん、自分で自分の製品を毎日使ってご覧よ!その日撮った画像を期待しながらパソコンに取り込んで再生する時の悦びが判るか?1日2回出し入れすれば年間700回以上SDカードを入れたり抜いたりする事になるのだ。例えWi-Fiで画像データを飛ばせる機能が付加されようが、今までSDカードでデータを出し入れ続ける人間は、メーカーの期待する新しい機能での行動などしないのだ。
もし、すべてデータの移動をSDカードで出来なくすれば、「一体スマホと何処が違うの?」という恐ろしい常識がまん延するだけだろう。そうなったらコンデジ愛用者たちは別のメーカーの製品を買うだけだ。
このようにコンデジ愛用者を大切にしないからカメラメーカーは画素数、センサーの大きさではるかにコンデジ(=1/2.3)に劣るスマホのカメラ機能(=1/3)に数で負けて行くのだ。今後もこの傾向はどんどん加速するだろう。
ご参考= https://camera-freaks.com/camera-erabi/imagesensor-hikaku#1348mm36mm
ズームや手ブレ防止が無い、液晶が反射してなかなかターゲットにピントが合わない、撮影に手間取る・・・などスマホ撮影の限界などには気が付かない一般人が、撮れた画像の優劣よりインスタグラムなどにその場で投稿出来る利便性を優先し「ウケを狙う」現象に遅れまいと、カメラ専門メーカーとしての意地もプライドも捨ててしまったのだろう。要はビジネスだから売れれば何でもありなのだろう。
現在のスマホジャンキーと言われるスマホが情報端末・PCなどすべての情報源である一般の人間のカメラ・写真に対する軽薄短小ニーズを追ったがために、本来カメラ愛用者のニーズから逸脱し始めている事に気が付かないCANONの設計製造スタッフに大きなクレームを申したい。
このままでは消費者を上から目線で視たため衰退したSONYや元々古い物を大切にしないのが理念のアップルのような企業と同列に成ってしまうだろう。モノづくりの理念、職人企業としての信頼を持ってきた観音カメラ、CANONはもう地に落ちてしまったんだろうか?
デジタル技術は業界一のCANONなのに、そのカメラがアナログの機械式部品が壊れた場合修理せずに消費者から交換費用1万円以上を徴収して丸ごと別の機種に替えさせてしまい、使い捨てのようにして事を終わらせようとする・・・この企業姿勢にはカチンと来た。モノを大切に!より良いモノを消費者に提供し末永く使用してもらう・・・という企業理念はもう今のCANONには無いのだろう、大変残念だ。