しかし、何と!今日1日でヤマセミの交尾を2回しっかり撮影できたのだ。それぞれ別のつがいで球磨川本流と支流の一つでの行為だった。時間的には球磨川本流が朝7時20分、支流が朝8時30分、いずれも小雨が降る状況だったがヤマセミの繁殖に天候条件はあまり関係ない様だ。
今日アップする球磨川本流での交尾は、幾つかある樋管の上屋の屋根に設置されているアンテナ上だった。
実はこの交尾したつがいは2日前にも朝早くに鋼鉄製の球磨川水位計に留まっていたのだが、その際はすぐに飛び去り交尾の気配すら感じさせなかった。この水位計というのはこのヤマセミつがいが好んで留まる場所で、過去においても幾度か交尾を行っていた場所なのだ。
今日もオスが1羽でアオサギと水位で同居してたのだが、一旦オスは対岸へ戻り、つがいで並んで時期を伺う様子を見せていた。
アオサギがいつまでも立ち退かないので、つがいが揃ってこの水位計のバーへ来られないと踏んだ筆者はお手伝いをすることにした。堤防の階段を下りて水位計に近寄りアオサギを見つめたのだ。なんとこのアオサギは鮎漁師の島津さんになつき、いつも島津さん宅の前にたむろしている個体だった。当然筆者の顔も記憶していると思われるので寄っても全然飛び去ろうとしなかった。
しかし此処で朝のウォーキングの方が2名小走りに堤防下の道路を近寄って来たので「チビ」と呼ばれているこのアオサギもさすがに飛び去った。
そうして、堤防の階段を上って上に出た途端、目の前の樋管の上屋にヤマセミ・オスが留まっていて、其処へあとからメスが鳴きながら飛んできた。もうそれからはアッという間にオスが来たばかりのメスに覆いかぶさり交尾が始まった。
観察・撮影は今まで筆者が観察したことが無かった真後ろに近い位置からだった。この位置で交尾が完全か不完全かが良く判るのだ。「交尾」という言葉の示す通り、オスとメスの尾羽が交差しないと交尾とは言えないのだ。
ただオスがメスの上に乗っかれば交尾だと思っている方も多いと思うが、実はそういう交尾行為のうち20%程度しか完璧な交尾は無いのだ。(※ヤマセミの場合)
したがって、ヤマセミの場合は繁殖シーズン中少なくとも4~50回は交尾を繰り返す。観察した中では1日に3回交尾した観察記録がある。
最初は水位計にヤマセミのオスとアオサギが仲良く並んでいた。
で、一旦対岸のメスの元へ戻ったオスが意思確認なのだろうか盛んに鳴き合っていた。
アオサギが去ったので、堤防の階段を昇ったらいつの間にか対岸に居たはずのヤマセミつがいが樋管上屋のアンテナに!
あっという間にオスがメスにかぶさって交尾が始まった。
完全に交尾が成った証拠にオスの広げた尾羽の中からメスの尾羽が突き出している。
交尾が終わるとオスは反転して離れていく。
つまりは真後ろに居る筆者の方へ来る感じ。
オスが去っても、メスは交尾態勢のまま。
まさかこの1時間後に別の個体の交尾に遭遇するとは夢思わず…幸運だった。