八島湿原にはほぼ毎年2回以上通っているが、なかなか落ち着いて過ごせる宿が無くて困っていた。室内は丸木小屋風(客室は畳の民宿レベル)でいい雰囲気で、決して安くない宿代なのに朝食に珈琲を出さず、さも当然のように紅茶しか出さない世界の常識から外れた変な趣味の宿や、一見アルプスに在る様なカッコいい山小屋風のロッジなのにインターネットが繋がらない宿など、帯に短し襷(たすき)に長し・・・といった感じで困っていた所、凄い宿をめっけた!御射山ヒュッテという。
これがまた、アクセスが大変不便な所にある。実はこれが最高の環境を生み出しているのだ。まず観光バスで押し寄せ、ワイワイ騒ぐ高齢者の観光団体客が来ない。八島湿原附近まで来ても、ヒュッテの敷地内に車を駐車できないから、公共の八島湿原駐車場に車を置いて木道を約1.6km歩かなければ宿に到着できないのだ、不便なのだがそれが良いのだ。
文句言う奴は来なくていいのだ。これが大変気に入った。何でもかんでも客の我がままに応えるのが客商売だと思い込んでいるサービス屋とはちょっと違った良い意味で唯我独尊的隠れ家なのだ。
まず、宿にも周りにも人工的な音が全然ない。テレビが無い、ラジオが無い、新聞もない。10月後半の今、滅茶苦茶寒い。勿論暖房なしには死ぬ。チェックイン16時から、チェックアウト朝9時。消灯22時。夕食は非常に美味しく量はちょうど良い、朝はトーストモーニングのみでサラダもハムエッグも無い。欲しけりゃ自分で用意して自分で厨房設備で作るのだ。食材持ち込み全然問題ない。
間違いなく外人が、それも特に西洋人が知ったら大騒ぎで来たがることだろう。若い宿主人夫婦が凄く良い!これは筆者の様な団塊世代にはものすごく接しやすい。頑張っている姿を観るとなんでも応援したくなる。
昨日チェックインして、今朝日の出とともに誰もいない八島湿原に野鳥撮影に徒歩で出て2時間で戻り、朝8時の朝食にヒュッテに戻り、再び木道を歩いて駐車場に行き、自分の車に乗って荷物をピックアップにヒュッテに立ち寄る。面倒くさい様で、木道を何度も歩くのが嬉しい。そういう心でなければいかない方が良いだろう。
猛禽類など成果が予想外に良かったので、調子に乗って鷲ヶ峰(1789m)に登って来た。八ヶ岳~富士山~南アルプス~中央アルプス~御岳山~乗鞍岳~北アルプス~浅間山が一望だ。是非お勧めだ。死ぬ思いをしての登山では無いので野鳥撮影のいで立ちであっという間に登れる。登り35分、下り15分だった。
今日はまず御射山(みさやま)ヒュッテの紹介から。但しこの11月5日で今年の営業は終了する。水が凍ってしまうからという理由がこれまた凄い。飲料などは湧水を使っているからだという。
八島湿原の公共駐車場に車を置いて(無料)最低限必要な荷物だけ背負って木道を歩きで向かう。1.6kmは慣れればどうって事無いが、自然が嫌いな人には辛いかも。いわゆるリゾートでは無いのだから・・・。
佇まいは、もう完全にアンドリュー・ワイエスの絵の世界に近い。こうしてみるとちっぽけに見えるが、意外と広くてデカいのだ。
木道を行く人を見下ろす猛禽類ノスリ。
パンフレットも良いがネットで下のサイトを見て欲しい。気に入るはず。