まだ朝日も昇らぬ霜で真っ白の球磨川両岸をヤマセミがが飛び回っているのには驚いた。飛翔シーンを撮影したらその背景はまるで「東山魁夷」状態だった。
いつもウォーキングを兼ねてのヤマセミ観察・撮影で左岸を歩かれる辻先生が命名した「古江ブリッジ」に二羽のヤマセミがお供え餅の様にこちら右岸を向いて留まっているのに気が付いたのは午前7時半だった。
500mm+1.4Extenderで距離200mの球磨川対岸のヤマセミはかなり小さいが、何とか生態観察は可能だった。発見して2分後、オスが突然メスに背後から交尾態勢に入るも、するりと抜けたメスとともにオスも飛んでしまった。まあ、こういった練習を重ねて本当の交尾に至るのだろう。
別のつがいのベース基地「巣」は掘削作業に入っていると見え、穴の泥を大量にかき出している場面に遭遇。例年より3週間早いプロセスに只々驚かされた。
昨年の巣穴の再利用なのか?新たにいつの間にか掘ったのか不明だが、まだ泥が明らかにかき出されている状態。しかし、間違いなく繁殖期に入っている事だけは確かだ。それも例年よりはるかに早く・・・。
ちなみに撮影している車(車内)から巣穴までの距離は80~100m。どこかの野鳥団体の無知なメンバーが「営巣中の巣穴には200mの距離は離れて観察撮影すべき・・・。」などとメンバー間のメールリンクに主張しているとの事らしいが、余りにバカげた非現実的な考えだろう。
人吉界隈では、民家のすぐ30mの裏山崖や、民家の軒先から10mと離れていない崖に営巣してきちんと4羽のヤマセミが巣立った実例がある。大きな施設の大型車両の駐車場の道路を隔てたシラス壁の巣でも3年前しっかりと3羽が巣立っている。其処はもうすでに壁が崩れ1.5m程後退してしまっていて巣穴は跡形もないが・・・。
ヤマセミと人間との共創・共生を研究している筆者にとって、この手の野鳥の生態を良く知らず、現実例・現場も知らず(知ろうともせず)に単なる憶測で一つのルールを作り上げてしまおうとする、野鳥団体のクレーマーを野放しにするのは如何なものかと思う。
そもそも200mの根拠は一体何なのだ?現実にすぐそば(もちろん200mなど離れていない)で生活している人々の事をどう考えるのだ?あまりに独善的な判断・主張で呆れてしまう。
またまた話がそれてしまった。今後もこのヤマセミの繁殖生態に関しては逐一情報を提供したいと思うが、場所の特定につながる画像や情報は一切公開しない。この点はあらかじめご了承願いたい。