野川流域においては、下手をするとカワセミにしか出遭えない日があったりする。整備不良の自転車のバンドブレーキのような、独特のチーッ、チッチッという鳴き声でその存在はすぐに判るからかもしれない。
撮り始めの頃は、どんなシチュエーションでもAF機能や秒間コマ数の発達した最新機器を駆使してバチバチやる事が多いだろう。撮影のタイミングや、顔の向きで色々な表情をするカワセミの魅力にどんどんハマって行く。もうこの時期を過ぎると野鳥撮影病の症状は第二段階、どんな薬も利かない進行性重症領域に入ったと思って間違いない。
年始から地味な野鳥が続いたので、少し基本の派手で綺麗な人気のヤマセミ撮影に戻ってみたいと思う。ただ撮るだけではなく、留まっているカワセミであれば、それなりに光や背景に気を配って余裕を持って撮影する練習をしてみたい。当然光は真昼の上からの光ではなく、朝夕の横からの光で綺麗に立体的に撮りたいと思う。それには偶然出遭えた・・・のでは上手く行かないだろう。
筆者の経験値から来る意見だが、事前のロケハンが非常に重要だと思う。目指すカワセミが、いつ何処で、どういう行動をするのか事前の観察が必要だろう。出来れば1週間くらい掛けて目指すカワセミがどのエリアを縄張りにして、何時頃何処で採餌するのかまでメモって置くと本番撮影時に非常に役立つはずだ。プロのトーナメント・ゴルファーが事前に各コースを周りながらメモっているのと一緒だ。ヤマセミと同じでカワセミも縄張り意識が非常に強い野鳥なので、いつもの撮影コースで出遭うカワセミは殆ど同じ個体と考えて良いと思う。
今回は最近のものと以前撮影した静止中のヤマセミ画像を交互にアップしてみた。
近づけて、ピンも来て、良い感じで撮れたと思っても、PCで再生すると背景の煩さにがっかりする事も在る。被写界震度をいじっている間に飛んでしまうかもしれない・・・との余裕がない場合こういう絵になってしまう事が多い。
出来れば拝見が遠く、空抜けとまで行かなくとも、この程度背景がボケる、あるいは抜ける場所を選びたい。これなど事前のロケハン次第で自分の好みの撮影ポイントを覚えて置く事が大事。
もう一つ、こちらに胸を向けている場合と・・・。
背中を向けている場合、カワセミは留まっている向きを変えることが多いので、注意して双方の撮影をしておくと良いと思う。これなどは自分自身の根気との勝負かもしれない。ガマの穂に留まっている等地域性を出すのも良い画像に繋がるはずだ。
カワセミの基本色はその綺麗なブルーと足の赤、メスのくちばし下側の赤だろう。そのどれでもない黄色バックに撮影出来れば全体が非常にカラフルな画像になる。菜の花や紅葉の銀杏など良い背景になると思われる。