2015年6月8日月曜日

ツバメ考現学の勧め。その2. Let's think about Swallow ! Part2.

  昨日のブログアップ「ツバメ考現学の勧め。」には300回を越えるアクセスを頂き大変感謝している。同時に日本野鳥の会のキャンペーン「消えゆくツバメをまもろう」が結構浸透しているのではないかとも思った次第。現実、一所や同じ県内と言う限定のエリアだけでモノを判断する事はミスに繋がる為、やはり東西・南北に細長い日本列島、各地の情報を集合させて生物の生態についての判断はなされるべきだろうと思った。

 野鳥保護には色々なタイプが存在する。莫大なお金をかけて施設を作り手塩にかけて完全保護の中,絶滅を回避させている佐渡のトキや豊岡のコウノトリのようなタイプ。地元で完全立ち入り禁止区域を作り餌を撒いて群れの安定した繁殖を促す釧路のタンチョウや出水のツル群。更には何も手を貸さないが人間側の行動を自粛しながら大切に見守って居るクロツラへラサギなど、ラムサール条約登録エリアの活動等レベルもまちまちだ。しかしまだ其の生態があまり良く判っていない野鳥に関しては対処の仕様も無く、「想像」や「憶測」で保護への試みを模索しているだけの状況のようだ。このウェブサイトの主人公であるヤマセミ等はその最たるもので、巷で言われている「人間が近づきすぎて繁殖を放棄する・・・」などは極まれなケースで、実は天敵にやられるケースのほうが圧倒的に多い事がこの5年間の観察で判ってきた。現在その証拠画像・映像データ等を集計中だが今年中にこのWEBサイト本体と出版物で発表したいと考えている。
 さて、昨日に引き続きツバメの生態・考現学だが、「眼にも留まらぬスピードと急反転のツバメ返し!」のイメージが強すぎてなかなか飛翔中のツバメを画像に取り込むのは難しいと言われている。しかし、ツバメの行動をよく観察して、今何をする為に飛んでいるのか理解しさえすれば誰でも撮影は可能と考える。生物の行動に「意味の無い行動」はまず殆ど無いと言って良い。

 ツバメを見ていてその飛翔にも主に4種類の異なった行動目的が在る事に気が付いた。
 1つは自分で食す為に空中で羽虫の類をフライングキャッチするあれだ。湿度が高くなり虫が高く飛ばない雨の時にはツバメが地面すれすれを飛んで採餌するという捕食行動の一環。ツバメ返しが見られるのはこの時が一番多い。

 2つ目は繁殖期に入って直ぐ巣の材料を採取する為の飛翔。田の畦や湖水の岸の泥、農道の藁くず等を咥えて飛び立つ飛翔だ。此れは群れで同じ場所に集中する癖があるので撮影チャンスは多い。飛翔スピードは一番遅いように感ずる。

 3つ目は給水・行水の為の水中ダイブ。水面が静かな川のとろみや池でツバメが代わる代わる水面ギリギリを飛翔して時々水にダイブするあれだ。カラスやスズメのように浅瀬で止まって行水はしないようだ。此れは営巣中巣の雛に水を給水しているのかもしれない。

 最期は営巣中の巣と採餌エリアとの往復飛翔でこの最中にツバメ返しはまず見られない。人吉界隈で見る限り街中でも郊外でもこの全ての行動の半径は巣を中心に500mも無いと思う。東京武蔵野では見通しが悪くこれらの観察は非常に難しい。今度野川界隈で観察してみようと思う。


空中採餌のスピードは一番速い、イメージ的にも早く見えるようスローシャッターで追い写し。

デジカメだからこそ多くの無駄なシャッターを押して取れる画像だ。

ツバメ返しが多く見られるのもこの空中採餌のシーン。

休耕地の上でも水田の上でも虫さえ飛んでいれば低空でバンバン飛ぶ。

余程眼が良いのだろう鹿避けガード電線等、引っかかっているのを視た事がない。

田の代掻きの時にツバメが巣の材料を集めるのは人間との共生の一部だろう。

巣作りの素材集めのフライトは視てすぐに判る。

ホンの少しの藁くずでも空気抵抗になるのだろうか?

それが泥の塊の場合は決して高く飛ばない。積載制限があるのかもしれない。

夏場に多く見られる水浴びの瞬間!此れを撮るのは少し慣れが必要。

巣と採餌場との往復は障害物を避けながらほぼ一直線に飛び出していく。

割りに高い所を飛んでいく

この際はツバメ返しなどをする意味が無いので直線的に猛スピードで・・・。