写真展終わって、来場した方が書き残した「感想帳」をコピーしながらいろいろな発見があった。思いもよらぬ大学同級生・画家が伊豆の山からわざわざ来てくれていたのを発見!感激だった。
会期8日間中、実はひどい風邪で一時は高熱40度超えになり2日間会場へ出るのを止め寝込んで居たが、その二日間に友人知人がけっこう来てくれていた。せっかく来てくれたのに逢えなかったのは非常に残念だったが、とにもかくにも感謝に堪えない。
数日前のこのブログでも述べた通り、佐藤さんの関係者は写真家さん、カメラメーカー、雑誌・新聞などのペーパー媒体、写真集などを出したり写真がメインの出版物の出版会社、それに大手TV局などのメディアなどだ。
しかし、筆者の方の野鳥写真に興味を持つ方々は相当ジャンルが広がるという事も述べた。レポート3回目の今日はその野鳥撮影が趣味の方々と、「地元野川の写真展」という事だけでこられた方々、主にミニコミ誌や初日の読売新聞の記事を見てこられた方々の様子をご紹介してみたい。
当日会場にはテーブルに感想帳を用意し、感想を書いていただくようにしていた。これが実に素晴らしい感想で一杯だった。
大体会場内に「感想帳」なるものがある写真展も珍しい。それに50名ほどの方が感想を書くというのもプロの写真家さんがプロデュースする写真展としては初めてではないだろうか?
都心の写真美術館やJCIIサロン、あるいはその他の美術館で開催される写真展は「お前になど理解できまいが、まあ観て行ってよ・・」的な、上から目線的な展示が多いし、「写真やってなきゃわかんないだろうな?」的な、一種独特のアートの壁みたいなものを感ずることがある。筆者でも在る。
だから写真展会場から出て、「どうだった?」と訊かれると一般の人は「良かったですね・・。」くらいにしか反応できないのが普通ではないだろうか?
それが今回の調布のそれは全然違う。野川といういつも地元で歩いたり走ったりする場所、見慣れて景色が素晴らしい光で表現されている。知っている場所だからこそ繁々と見入るのだ。
いつも見た景色が「こんなに綺麗に見える時があるんだ!今から行くぞ!」と撮影が趣味の旦那さん、それに対して「このくそ暑いのに今から行くってバカじゃないの?今は夏だから草ボウボウよ?」と奥さん。こういうカップルを間近に見てしまった。
野鳥もニューギニアの観たこともないような極楽鳥ではなく、野川で出逢ったことがある野鳥ばかりだから、じっくりとキャプションを見て「あー、これオナガっていうのね?初めて知った!」という来場者で一杯なのだ。
これを見る限り、あるいは会場内で色々お聞きした感想を合わせると、今回の写真展の目的、目論見は完全に成功したといっていいと思う。プロデューサーの佐藤さんの思惑はズバリ当たったのではないだろうか?
出展する野鳥の写真を佐藤さんに選んでいただいたのは、まったく大正解だった。それは感想帳に明らかに書かれている。
筆者が最初に想定していた野鳥の写真は飛んでいるところが多かった。これは筆者が野鳥を観察しシャッターを切る半分が飛翔中のものだからだ。理由はただ一つ「野鳥と航空機は飛んでいる時こそを美しい・・!」の理念からだ。
航空機だってハンガー(=格納庫)に入っている時より離陸して空を飛んでいる時の方が美しいだろう?格納庫に入った飛行機を撮りたい奴が一体どれだけ居る?航空自衛隊の基地祭でも国家イベントの際のブルーインパルス編隊飛行だって、飛んでいるからこそ美しいのだろうと思う。
しかし、「私たちと野鳥の楽園・野川」のコンセプトで行くと、いわゆるバーダーと呼ばれる「野鳥撮影族」の一団、撮り鉄に似た「撮り鳥」の意気軒高な方々が「なんだ!こんなもんか?」「ウグイスが居ない訳なかろうに?」「あのムジセッカは撮れなかったんだな?」「クイナだっているだろうに何故無い?」・・と言うような写真はハナから選んでいないのだ、野鳥写真のコンセプトが根本から違うのだから。
その手の方が喜びそうなカワセミの求愛給餌や交尾。あるいは巣立ったカワセミ幼鳥が数羽並んでいる写真。タシギ、サンショウクイ、カッコウ、ホトトギス、ミソサザイ、ハイタカ幼鳥、アオゲラのディスプレー(=求愛行動)、アオゲラの飛翔、コゲラの飛翔などはあえて今回外している・・・、というより佐藤さんが意識的に外したといって良い。
その選別時に、外されたカットを横目に筆者の反応を敏感に読んでおられた話を親しい方にされているのを横で聴いていて、思わず笑ってしまった。鋭どすぎる。
そういうジャンルを求めてこられたバーダーさんらしき人も数名お見かけしたが、会場内に入って目ぼしい写真の所に行って数点見て、サッと帰られる。すぐわかる。
一方で一生懸命野鳥の撮影に精進している方は展示された写真を丹念に映しておられた。
むしろ、「野川にこんなにたくさんの野鳥が居るとは知りませんでした、次回から散策の折に気を付けてみようと思います。」だの「野鳥のやさしい目に癒されました」など、この写真展のコンセプトばっちりの反応をしてくださる方が多いのにびっくりもした。
繰り返すがプロデューサー写真家・佐藤秀明さんの思惑は大成功だったのだ。