▮ メーカーは高い広告宣伝費を使って高額カメラを売る割に、撮影マナー・ルールの啓蒙をしないのは何故?
昨日は2020年廃刊になったカメラ雑誌(アサヒカメラ)の中での2018年における野鳥撮影に関するメディアとしてのイージーな撮影マナー・ルール警鐘記事をご紹介し、それら報道に関しての筆者コメントをご披露した。
その中で、例えば車メーカーは自動車運転マナー、車事故に関しての最低行うべき啓蒙活動を怠っている、自転車メーカーは違法駐輪や道交法無視の運転などへの注意喚起・啓蒙活動をしないと嘆いた。
カメラメーカーも同様で、鉄道写真撮影愛好家たち、野鳥撮影愛好家たちへの撮影ルール・マナー啓蒙・教育に関してあまりに何もしないという事を、今回このブログでご紹介したい。
企業には普通広告・宣伝・PR費という項目があり、ビジネスとして順調に経営が成り立つよう、どんなに経営危機になっても銀行筋は人件費とは異なって、宣伝・PR費は意外にも大幅にカットしない。
カットすれば売るための告知が出来ないという事でさらに経営が行き詰まるからという理由からだ。
しかし、野鳥撮影者の筆者の立場から見て、ここに企業としての成すべきPRの方向と量があまりに矛盾している事を訴えたい。
ここにかって数年前話題になったCanonの新製品広告宣伝コマーシャルがある。
https://www.youtube.com/watch?v=9zHFlqKDu-E
カメラに向かってくるフクロウを撮影するオランダ人の女流カメラマンの動画は、当時野鳥撮影愛好者の間で相当な話題を呼んだ。「いつか俺もああいった撮影をしたいものだ・・。」「でもあんなドレッシーな格好で荒野には行けないから、本当は動物園で撮影したんじゃないのか?」などという声をあちこちで聴いた記憶がある。
野鳥撮影のベテランはあのフクロウは飼いならされた個体で、カメラマンのすぐそばに餌を置いてそれに向かってくる所を連写しているシーンという事を見抜いていたようだ。
筆者も思う。まったく野生のフクロウがこんな状態でカメラメーカーの広告になるような都合の良いシーンを演出などしてくれない。NHKの「ワイルドライフ」や「ダーウィンが来た!」でも無理なシーンだ。
熊本県の人吉市に12年間・300日以上滞在してヤマセミを観察撮影し、既に10万カット以上のデータ画像があるが、あんなに傍まで飛来した事は無い。
しいて似たような経験と言えば、球磨川河口で約800m対岸から真っ直ぐ飛んできたオオタカが50mほど手前で身をひるがえして去って行った数年前の経験くらいだ。この際は500m/f4の大口径レンズの反射光に向かっての威嚇行為だと思うが・・。
同じようなフクロウ族(猛禽類)でいえば九州でコミミズクを撮影した際Canonのコマーシャルの様にこちらへ向かうシーンが在るが、あんなに近くはなく200㎜以上離れている。
しかもカメラレンズを凝視して向かってくるなどというのは、おいそれと撮れるものではない。
野鳥撮影のベテランはこの仕掛けを簡単に見破れるが、普通はそうではない。オランダ人のカメラマンを雇い、ロケして天候を待って高い費用を掛けて撮影したのだろう。
同じくCanonのカメラを使っている極楽鳥撮影で一部の人に知られるティム・レイマンでもこういったシーンは撮っていない。よほど被写体の野鳥の生態を研究して知らないと撮れないのだ。これは野鳥撮影愛好家のベテランは誰でも知っている事。
で、これだけ「買わせるための広告宣伝」にお金を掛けてカッコいいコマーシャルを作っているCanonが、自社の消費者である野鳥撮影愛好家たちへの撮影マナーや法令遵守の啓蒙をどれだけやっているか?ここに資料を集めてみた。