昨日の流れに乗って、オオタカに関する貴重な体験レポートをお届けしたい。レンズを向けていて思わずオオタカに襲われたのかと思った、NHKのWild Lifeそのままの臨場感!嘘偽りのない大自然の驚異を身をもって体験した。それも遠いシベリアの平原やアフリカのセレンゲティ草原での出来事ではなく、JR原宿駅の改札を出て雑踏を抜け、ほんの800m程度歩いた明治神宮の林道での出来事なのだから驚いてしまう。
繰り返すが、NHKの「ワイルドライフ」だとか、「ダーウィンが来た!」あるいは「ニッポンの里山」など、知られざる大自然の驚異を長時間ロケして制作した番組でしか味わえない野生動物の生態を、自分のすぐ傍数メートルの距離でリアルに目の当たりにした点で結構すごい体験だった。最近流行りのVR(=バーチャル リアリズム)なんてもんじゃない!生の衝撃とはこんなに凄いものなのかを感じたのだ。
オオタカの羽音、風切り音、ひょっとすると息遣いや体臭まで感じたような気がした…と言うのは、数年前熊本県八代市の球磨川河口でオオタカに真っすぐ突っ込んでこられてビビった記憶が在ったからなのだ。
この時は200mほど離れた河口の小島に居たオオタカが、こちらが撮影しているCanonの500㎜ f4✕1.4テレコン付きレンズ目がけて真っすぐ突っ込んできたのを体験したからだ。
理由としては想像するしかないのだが、恐ろしいほど非常に視力が良いオオタカが、逆光にもかかわらず200m先でチラつく大口径レンズを通して見えた筆者の目玉が気に成ったのではないかと判断している。
3年前の2018年12月22日投稿のこのブログをご覧いただければその意味がお判りいただけよう。今回もこれがあったればこそ、同じ様なケースかと思ったのだ。 http://yamasemiweb.blogspot.com/2018/12/what-do-you-do-if-you-are-pressed.html
今回の状況を説明させて頂こう。
場所はいつも入る、明治神宮御苑(有料エリア)とは違う外周の宝物殿の方へ行く林道内でのことだった。場所的には御苑の南池(なんち)が一番西側で終わるあたりの林道を登り切った所だったように思う。
木々の間から抜けて逆光の中見えていたオオタカを撮影していて、暫く静寂が続いたあと、数羽のカラスの鳴きながら通過するのと同時にオオタカが突然レンズを向けている筆者の方向へまっすぐ飛んできたのだ。
そうして頭上2mあるかないかの低空を通り過ぎ、筆者の後ろの枯れ草の路肩にばさーっと音を立てて舞い降りたのだ。その距離5mあるかないか。それまで逆光の空抜けのオオタカを観ていて筆者の眼は相当に暗い反対側の暗い景色には急に慣れなかった。
それでも、枯れ葉とオオタカの灰色の背中の見分けがつき難い状況下で、とっさにズームレンズを短くしてファインダーをのぞくか覗かないかで連写シャッターを切っていた。
正直写っている訳はないと思いつつも、この瞬間何もしないで居る訳にはいかないという脳より先に自分の体が動いていたという反射的な行動だった。
若い頃からスポーツ三昧で反射神経には人一倍自信があったものの、もう72歳を越えての反射神経は相当錆びついている。はっきり言って自信は殆ど無かった。
しかし今日は意外なその結果をご覧頂こう。野鳥撮影というジャンルの一つの方向性の究極に当たるのがこういう場合の画像なのだろう。普段からコンテストに出すような、あるいは鳥類図鑑のようなきれいな野鳥写真を撮るのではなく、何かをしている瞬間の動きのある生態写真を撮ることを心掛けていて良かった。
撮影終わって休憩テラスで休みながら撮影した結果を小さな液晶モニターで確認しつつ、ラップトップPCに保存しながらつくづく思った。手持ち撮影で良かった(三脚は余程の事が無ければ使用しない)、50~500㎜以上の超望遠などの重たいレンズではなく70~300㎜の取り回しの良い中望遠ズームで、なおかつ重いフルサイズのEOS 1Dxではなく軽いAPSCのEOS7DMarkⅡで良かった・・・と。
重くて長いレンズ、重たいボディだったら今回の画像は撮れていなかったと思う。
『お知らせ』
「ニッポンの里山・人吉のヤマセミ」でお世話になったNHK自然系の番組制作ディレクター市原俊幸氏が、昨年来制作にかかわってきた番組が3月8日(月)NHK BS プレミアム20:00~20:59『ワイルドライフ ~命の素顔を撮る 動物写真家 野生へのまなざし~』で放送に成ります。是非ご覧ください! https://www.nhk.jp/p/wildlife/ts/XQ57MQ59KW/episode/te/3K33M681ZR/