2020年8月21日金曜日

真夏のアマサギは田んぼで集っていた。 Midsummer the cattle egrets were gathering in the rice fields.

  人吉・球磨エリアの文化・産業の復活へ向けてアイディアを出すべく資料集めなどを行っているが、さる新聞メディアによると地元の団体幹部が集会で「地元の市町村に負担がない様に鉄道を復活させてほしい・・。」などと述べた・・と出ていたが、これはちょっと違うのではないだろうか?

 肥薩線が通った明治42年頃の話であればまだ解るが、明治・大正・昭和・平成と来て今は令和の時代。交通インフラも技術もモータリゼーションのおかげでスピードも格段に進歩し、鉄道利用者は激減している。

 そのような状況下、鉄道会社が採算を度外視して大赤字必須の鉄道を地元のサポート無しで復活などする訳が無かろう?鉄道会社は慈善事業ではないのだ。地元の要望、必要理由、活用努力(=実質的な乗車利用が伴わなければ意味がない)の約束無しに、開通前も後も地元の協力・負担一切なしに鉄道会社が「はいそうですか!」とばかりに費用全部持ち出しで復活などさせる訳がないと思うが如何だろう。

 沿線でSLに向かって旗を振るだけでは売り上げは一円にもならない。駅まで歩いて列車に実際乗って「移動」をする生活方式を少しでも復活させることが先ではないだろうか?車利用のおかげで若いうちから足腰が弱っているのが現代の地方生活者だ。東京に住んでいれば都心へ出て仕事や用事を済ませて戻ると、一日間違いなく一万歩以上歩くことになる。わざわざ球磨川土手をウォーキングなどせずとも健康は保てるのだ。今回の災害は色々な意味で鉄道の再利用・見直しを行う良い機会ではないだろうか?鉄道遺跡だけ大切にするだけでは鉄道会社は潰れてしまう。

 現在の利用頻度、肥薩線の運営経費に対する利用売り上げを視れば「管内でも有数の大赤字路線」であることは間違いなかろう。普通であれば今回の災害を機に廃線にしてもビジネス的にはJR九州は咎められる事はない。国鉄時代とはすべて訳が違うのだから。

 今回豪雨では球磨川沿いのほとんどすべての住民・産業がダメージを受けた。単に鉄道の復活、道路の復活だけ他人任せにして「沿線住民」は何も努力・負担・協力しないなどという話があるだろうか?繰り返すがJR九州は慈善事業で鉄道運営をしている訳ではない。自分達は普段鉄道には乗らず車であちこち行くのに、いざ肥薩線が無くなってみると不安になるのだろうか?勝手なものだ。

  筆者も人吉に滞在している最中に熊本市や八代市へ用事や会合で行く際は酒も飲まないのに、人吉駅前駐車場に車を置いてかわせみやませみ号やSL人吉号、あるいは朝一番の快速利用で移動した。今後ももし行けるようであればそうする。

 肥薩線に関して言えば、「八代・人吉両市を含め沿線各地の文化・観光・ビジネス・産業活性化をこのような復興プランで今から努力する、それには肥薩線の復興が必須・鍵なのだ・・」という青図面を立案提出しなければJR九州に失礼だろうと思う。人吉市だけ、あるいは球磨村だけでものを考えては球磨川流域の復興は成り立たないと信ずる。水上村から八代市に至るまで球磨川沿いが協力して地域活性化を行わなければ本当の意味での「陸の孤島」に成ってしまうだろう。あのインカの空中都市(実際は避暑地で最大人口750人程度だった)マチュ・ピチュだって孤立したが故に絶滅してしまったのだから・・・。

 無条件に鉄道が在って当たり前の時代は国鉄時代に終わったのだ。終わらせたのは自分達車利用者達だろう?肥薩線を修復・復活させてほしいのであれば、少なくとも老若男女、沿線住民全員の復活嘆願署名活動でも始めるべきではないだろうか?


 と、いう事で今日は真夏のアマサギのご紹介。撮影場所は今回の球磨川氾濫で壊滅的打撃を受けた人吉市の中神地区の田んぼだ。筆者は随分このエリアで野鳥の撮影をさせて頂いた。

中神地区は完全農耕地なので一般の人間は立ち入ることが少ない。左端はダイサギか。

この画像の上部にうっすらと見えるグレー部分が球磨川本流の土手道路だ。



真夏の田んぼの中は深い。顔だけ見える感じ。

中型のサギだが亜麻色のカラーはとても特徴的。

飛び行くアマ先の先に何かが居る?

よく見たら赤とんぼと並走していた。真夏の球磨川界隈。