観察エリアは五木村のかっての川辺川ダム水没予定地、五木川~川辺川全域、市房ダム湖、更にダム湖に注ぎ込む湯山川、ダム湖から人吉市内に至る各エリアでの球磨川流域。更には人吉市と球磨村境の渡地区から八代市に至るまでの球磨川全域を年間10回以上は巡回してきた。
その結果、五木川、川辺川流域で約12か所、湯山川で2か所、多良木村~錦町間の球磨川本流で約8か所、渡地区から八代市内に至る球磨川本流で3か所においてヤマセミを観察撮影している。
今までこのブログではほとんど球磨川本流、あるいは人吉市内で球磨川に流れ込む狭い支流部でのヤマセミをご紹介してきたが、しばらくは川辺川及び川辺川へ流れ込む支流部でのヤマセミに焦点を当ててみたい。
ひょっとすると、今後数年間はもう川辺川~人吉盆地全体に目を広げ、充分観察しつくしたと思われる人吉市内のヤマセミはしばらく観察しないことになるかもしれない。毎年の繁殖~幼鳥教育の観察は「年変化」止まりで、新しい発見が無いように感ずるからもある。
一所に執着しすぎると、全体を把握できずに間違った生態判断に繋がりかねないと思うようになったからだ。
球磨川本流と川辺川がどの様に違うのか、一言ではなかなか表現しにくいが、基本的に流れる水の色・透明度・水質が違う。これはその流域に生活する人間の数の違いが一番大きな理由だろう。10年以上日本における水質ナンバーワンを続けてきた理由がこれだと思う。ここ数年球磨川本流も水質ランキングのトップに名を連ねるようになった事を考えると、いかにヤマセミが水質の良いエリアに生息するか判るような気がする。
メディアに取り上げられ清流の代名詞に使われる全国の有名な河川、例えば四国の四万十川や三重県の銚子川などは国交省の全国水質調査ランキングで決して最上位には入っていないのだ。あくまでメディアが言う清流というのは「見た目の清流っぽさ」であって、生態系に係わる学術的な清流ではない。
これからしばらく、川辺川の自然とそこに棲むヤマセミの画像をご紹介しようと思う。
そういう球磨川本流とは多少異なる川辺川ならではの様子は今日のヤマセミの画像を見て頂ければ少しお解りいただけようと思う。
木漏れ日の中でこちらを確認しているヤマセミ。
安心すると、身づくろいを始めた。
川辺川のこちら側を飛び行くヤマセミ。
対岸の木陰でこちらを意識するつがい。オスの方が随分手前に成るので大きく見える。
球磨川本流と異なって対岸までの距離が近い。したがって慣れていない人間を見るとあっという間に飛び去ってしまう。少なくとも3日間同じ時間に顔を合わせて、危害を加える心配が無いという安心感を与えて顔を覚えてもらう必要がある。
ヤマセミに限らず、野鳥の多くは人間の顔を覚え、識別できる。この件に関しては別に特集を組もうと思っている。