これは筆者が10年間人吉に通って初めて目にしたヤマセミ生態の非常に珍しいケースだという事になる。過去においては写真集にも掲載したオスどうしの激しく長い闘いしか無いと考えていたが、今回認識を改める事に成った。
以前、地元にお住いの奥山様母娘の撮影された動画によるメス同士と思われる川辺川流域での争いを見せて頂いた事があった。この時は、川辺川沿いで抱卵中の巣穴にアオダイショウが入り、母鳥と卵が全滅した数週間後だった。したがって生き残りのオス(愛称・川辺川太郎)の後添いの座を争うメスどうしの闘いと思われた。
今回は動画ではなく、距離200mの遠くから連写撮影した静止画だったが、子育てしている縄張り領域に別のファミリーのメスが侵入したため、母親が育児エリアを確保のため闘ったものと思われる。やはり他からの危険を排除でき、見通しの良い場所の確保はヤマセミの子育て、幼鳥教育にとって非常に重要な要素なのだろうと改めて認識した次第。
今日はまずその前半戦。侵入者のメスを発見!樹木の上から攻撃し、一旦水中に落とした後、飛びかかって闘い始めるが、興奮しているのかお互い共にすれ違いざま同時に川に水没するまで。
撮影しながら言う事を聞かない幼鳥を母親がスパルタ式に折檻しているのかと思ったが、巣立って間もない6月11日の段階(6月8日頃に餌を貰う為幼鳥が2羽集まっているのを地元の方が初めて発見、この後1日1羽づずつ増えて15日には幼鳥4羽になった)で幼鳥が母親と対等に戦える飛翔力がある訳もなく、他からの侵入者(前年の親子や兄弟という可能性は充分有る)を排除しようとするメスの成鳥どうしの闘いと判断した。
あくまで200mの距離からの生態研究の画像なので、見難い点はお許し願いたい。
この続きはまた次回。自ら二羽同時に飛び上がり、さらに激しい闘いを行ったが、オスのそれとは異なって2回の合戦で片方が飛去した。