2018年6月24日日曜日

団塊世代のジジ放談 #5.『人吉ファンとしてあえて言う、今人吉が危ない!その2.』  Dare to say as one of fan of Hitoyoshi, now Hitoyoshi is in a crisis situation ! Part2.

 筆者は人吉球磨エリア、それも主に人吉市内に300泊以上した訳だから、朝・昼・晩、一日3食は食べた事になる。そのほとんどが外食だ。二食付きで泊った事があるのはほんの数回泊った老舗たから湯と翠嵐楼、人吉旅館のさらに数回だけ、ほとんどは素泊まりが多い。理由は日の出時刻にヤマセミ観察に出るので朝食時間が合わないのだ。その他はビジネスホテル含めて素泊まりだから旅館の2食はあまり知らない。
人吉市温泉町にある老舗旅館たから湯、たった五部屋ながら超贅沢感を味わえ、至福の時間を過ごせる。全国の隠れた名宿50選にも堂々と上位で選ばれている。青井阿蘇神社と同じ御紋の付いた岡持(嫁入り道具入れ)が素晴らしい。フロント横の待合室には1962年カスティリオーニ兄弟がデザインしたフロス社の「アルコ」が鎮座ましましている。筆者が学生時代新宿の小田急HALCの照明機器売り場でいつまでも見入った作品だ。

人吉旅館 旧市街球磨川沿いにある老舗旅館。木造で昭和レトロの色々なものを館内展示してある。客サービスが素晴らしく、朝食は一回だけ頂いたが、漬物バイキングが凄かった。時間のある方には最高の宿。古江さん撮影のヤマセミなど人吉で視られる野鳥の写真が館内に飾ってある。

これらの宿に泊まりながら素晴らしい食事をあまり出来ていないのが残念だが、その代わり人吉市内および近郊における外食に関しては間違いなく地元の人以上に良く知っている。此処がこのブログ・レポートの重要部分だ。辛口でこれらの人吉球磨・食文化から述べて行こうと思う。

 基本情報として筆者は酒は一切飲まない、アルコール分解酵素が親から受け継いだDNAにまったく入っていなかったのだ、筆者に一切の責任はない。この段階で酒を飲めない人間を下に視る「のんべえ達」はお友達ではない事を知っておいて頂こう。

 したがって筆者はお酒を飲むことを主眼に置いている飲食店「飲み屋」には余程のことが無ければ入らない。ましてや「白いご飯は有りません」等というお店には友達と一緒でも入らない。
 従ってこの項での人吉・球磨の「食文化」はお酒に関してのコメントや提案は無いとお考え頂きたい。

 日本人の五人に一人はアルコール分解酵素が無い、つまりお酒を飲めない。約1億人強の全人口のうち2000万人はお酒を飲めないのだ、筆者もそのマイノリティの方だ。
 酒飲みはこれを知らない、たとえ知っていてもマジョリティ(=多数派)意識の中で無視をしてきた。飲食店もそうだ。

 逆に人口のほぼ100%が体質的にお酒を飲める欧米人たちの国では、パブやバーなどの酒場よりはるかにレストラン・ビストロが多い。
 「酒の上でのことだから・・・。」と、人に迷惑をかける行為も無礼を働くことも大目に見る様な文化は日本にしか存在しない。
 酒が理由のトラブルに懲罰が増す海外と、情状酌量などという大甘裁定でうやむやにしたがる日本では文化そのものが違う。

 食文化を語る際、この酒を飲むか飲まないかは大きく内容を左右するので、最初にお断りしておく。

 話は替わって・・筆者には殆ど好き嫌いが無い。アクの強い日本のほうれん草(サラダ用ほうれん草は生で食す)、モロヘイヤ、地球上の食べ物とはいまだに信じがたいアボガド。これ以外は何でもおいしく食べられる。魚介類に関してはホヤ以外大好きで、一カ月間毎日それだけでも良い程。

 やれパクチやニンニクがダメだとか、ピーマン、ニンジンがダメ、鶏、牛タンやレバー、牡蠣や鰻がダメなどという生きている歓びを半分以上知らない可哀想な人たちとは随分違う幸せな食生活を送っている。

 こういう筆者が人吉で食した800回ほどの食事を通じて感じた事を述べて行こうと思う。
 まず、ジャンクフードと呼ばれる添加物だらけ・油にまみれたファーストフードはまず食さない。ハンバーガーやさん、フライドチキン屋さん、たこ焼き、立ち食いそば屋(人吉には無いと思う)には入らない。

 先に、過去8年間良く行ったレストランを上げていくと、Kura倉cafe、ボーノボーノ(=Buono Buono)、ちゃびん(2017年閉店)、エル マナス(2016年閉店)、吹上庵(蕎麦)、すぷーん(2018年移転)、ま心(ちゃんぽん)、上村鰻店、しらいし鰻店、焼肉店(数か所)、エベレストキッチン(インドカレー)、ジョイフル人吉店(219号線)、蓬莱茶屋、らーめん龍風、天琴、松の泉酒造レストラン、きじや…などだ。良い店がどんどん無くなっていくのが寂しい。

Kura倉Cafeの名物、ビーフライス。付け合わせの焼き野菜が素晴らしい、筆者大好物!

女性客に大人気のKura倉カフェ・ランチ。福岡、熊本市内から常連客が押し寄せる。休日のランチ時は席を予約しないとまず座れない。

Buono Buonoのピザランチ、ここも人吉へ行くと必ず入るお店。ディナーは自分の行動時間帯(その日撮影した画像をパソコンで確認するため18時までには必ず宿舎に戻る)に開いていないので入れないのが残念。

ま心のちゃんぽん(=ちゃんぽん麺)

ちゃんぽん麺抜き+ライス 筆者大好物で特別注文

 自分が育った時代はちゃんぽん(麺無し)とちゃんぽん麺がメニューとして両立していた。したがってちゃんぽん+白御飯が好きなのだ。これがいつの間にか、時代と共に麺無しちゃんぽん+白御飯の文化は無くなっていった。

 しかし、仲良くなった料理人・コックの皆さんとの会話の中で出てきた「要望」に関して、その後あまり進歩が無いのは少し残念な気がする。
 レストランのコックは色々情報を得たり修行に出たりして、料理の腕を上げバリエーションを増やしているのだろうとは思うが、基本的に地元の方のための提供をベースに考えているので、筆者の様な長期滞在型の「よそ者」へのサービスは考える必要はないのだと思う。

 その点を責めるつもりは毛頭無いが、もし外からの観光客にウケ、話題になり、そういうお客さんたちのSNSなど情報端末で情報拡散し、口コミで広がる効果(現在はもの凄い効果がある)を考えた場合、出す料理のメニューにもっと工夫なりを加えるべきだろうと思う。

 その点で筆者が自信をもって人吉以外から人吉へ観光などで訪れる人々へ「あそこは美味しい!絶対行っておくべき」というお店はホンの数件しかない。Kura倉cafe、ボーノボーノ(=イタリアン)、吹上庵(蕎麦)、ま心(ちゃんぽん)、上村鰻店、松の泉酒造レストラン、きじや・・位だろうか。

 いずれも既に口コミである程度以上の人気は得ており、満席の時も幾度かあった覚えがある。

 このブログで個々のお店の宣伝をするつもりは毛頭ないが、いずれもしっかりとした味覚づくり、見栄え、接客、などで東京に在ったとしてもトップクラスの評価を得られるお店だと思う。

 欲を言えば、ボーノボーノなどは日の入り時刻が遅い南九州で夜の部開店時間が18:00~というのは陽が落ちて暗くならないとディナーの雰囲気が出ないからという理由からかも知れないが、外来者にとっては遅すぎる開店・営業時間だ。
 逆に冬などは既に真っ暗な夜5時に晩御飯を食べられない・・・。

 ま心(ちゃんぽん)なども18:00~は予約が必要とした営業条件変更時にネット上に表示が無く、北九州と佐賀からのお客に大変失礼な事をしてしまった。いずれも美味しいが故に残念度が高くなる。

 似たような事が人吉市の飲食店のネット情報には非常に多いのが気に成る。ほとんどの観光客は事前に飲食店の開店・閉店情報、営業時間情報をネットで確認していくのだが、ネット表示の時間通りに営業しないお店が結構多い。これらはネット情報を掲載するサイト側の問題なのか、お店側の問題なのか判らないが、少なくとも自分の店がネット上でどのように表示されているのか、常に調査・監視しておく責任はお店側にあるだろう。最初の客サービスと考えれば当たり前の事だ。

 明蘭という中国人の若夫婦がやっている本格味・美味しいレストランがあるが、行っても開いていた例が無い。経営者としてあまりに気まま過ぎる。

 間違った情報発信は、ウソを発信しているのと同じだ。ネットを見て開いている筈のお店に行って、店の前でガッカリした際のお客の「恨み」は実は非常に怖い結果に繋がりかねない。怒りと非難がこれもあっという間にSNSで拡散される。

 これ以外に人吉の飲食店への問題提起を述べてみよう。言ってみれば筆者の我がままなのだが、同じ時間・期間を人吉で過ごした「よそ者」が居るならば意見を是非訊いてみて頂きたい。多分同じ様な事を言うだろう。

① 普通のトースト&コーヒー・モーニングサービスを朝早い時間に摂れるお店が殆ど無い。特に人吉駅前周辺に無い。
八代駅前ミック珈琲店の定番・トーストモーニング

 厚焼きトーストでなくても良いが、トーストモーニング(サービス)は都会人の「朝のお約束」なのだ、これが無いと朝が始まらない人が観光客には多いはず。これを人吉の飲食店の人達はご存じない様だ。間違ってもトーストが面倒だからとロールパンで済まそうなどというお店には人が来ない。筆者もそういう場合は躊躇せず席を立つ。

② 人吉にはオーソドックスなオムライスを出すお店が一軒もない。※卵でしっかりチキンライスを包む技術を持ったコックが居ない。
 洋食レストランのコックはしっかりと卵で巻いたオムライスを造れて初めて一人前。一度大口へ向かう人吉街道の途中の「しょうざん」で卵で巻いてあるオムライスを食べたが異様にデカかった。

③ マグロではなく、八代海に近い港から新鮮な地魚・魚介類が届くはずなのに、美味しい刺身など魚介類を食べられるお店が無い

八代駅前「小松」の特選刺身定食の魚(上下とも)、これで一人前。人吉へ行く際は一度は必ず寄るお店。これだけのために人吉から八代まで車を走らせたことが何度もある。駅前ミックと小松は八代へ行く楽しみの原点なのだ。

④ 美味しい(コシのある)うどん屋が少ない。
これは地域性食文化の違いだろうが、九州のうどんはコシが無い。うどんと言えば讃岐・高松のコシの強いうどんを貴ぶメディアの影響か、関東人はコシが弱いうどんは「美味しくない」と感ずるようだ。

⑤ 人吉盆地・人吉球磨エリアの食材を中心とした料理が少ない。

 人吉の名物料理はアユ程度か?冬期のイノシシ・鹿、春先の山菜、夏の茸料理、年間地鶏料理があっても良い筈だが、「きじや」さん以外目立った地元料理が無いのは残念だ。メディアが取り上げる意味でも人吉球磨ならではの地元名物料理を開発普及が今後の課題ではないだろうか?
 これら実現のためには地元生活者の意見・アイディア、地域活性化のマーケティング屋さんの言う事を聴くのではなく、実際地元での食生活をある程度以上してきた良い意味での「よそ者」の意見・アイディアを聴くべきだろうと思うが如何だろう?

 地域活性化のマーケティング会社の担当者がどれだけ人吉の食文化を実体験しているか?実はデータを見たりアンケート調査の結果を視たり飲食店の話を聴くだけで、ほとんど客の立場で自分の口で実地調査などしていない筈だ。
 例えば、人吉高校卒業者で作る東京繊月会のメンバーの意見なども是非取り入れるべきではないだろうか?人吉の食文化と人吉以外の食文化との違いを熟知されているという点で、そこいらのマーケティング屋よりよほど実際役立つ意見が出るはずだ。

 この項、さらに続く・・・。

 駅弁などお弁当に関しても山口さんが頑張っているが、他のエリアとの競争に勝つには、他のエリアのお弁当をもっと勉強すべきではないだろうか?2004年頃八代駅前の頼藤さんと一緒に「鮎屋三代」をプロデュースした経験から言っても、人吉駅のお弁当はまだまだ改良の余地があると思う、それはまた別の会に詳しく・・・。