それは、ヤマセミの幼鳥が単独で水面すれすれに飛び、瞬間水中にダイブして180度方向を変え、真逆の方向へ飛び去る練習を行う場面との関連性が見えてきたのだ。
幼鳥にとって天敵はトビ等猛禽類とカラスなど大型の肉食の野鳥。いずれも観察中目の前でヤマセミを襲って捕獲して食う場面を観たことは無いが、追い掛ける場面は幾度か撮影している。一方で巣立ち前のヤマセミが巣穴から何らかの理由で下に落ち、翌朝カラスが群がっている場面を観ているのでカラスが幼鳥(死肉)を食べるのは確実。
こういうような危険が一杯の自然界において、ヤマセミの親が飛翔訓練と共にこれら天敵の野鳥から身を守るすべを教え込むのはごく自然な事だろうと思う。
幼鳥が単独で水面すれすれを飛んで水没反転ターンを自習するのも半分はDNAの成せる業だとは思うが、今回精査した画像では、飛翔中にその天敵に追われた場面をわざと親鳥が演出して幼鳥に水没して逃げるよう、実地訓練をしているとしか思えないのだ。勿論本人達に訊いた訳ではないので、あくまで推察だが、他の解釈が出来るだろうか?
親鳥体当たりこそしなかったが、上から急襲したため、幼鳥が水没する。
幼鳥は180度向きを変えた。親鳥は上空へ旋回して様子を見る!
幼鳥は水没状態から反対方向へ再飛翔へ体制を整える。
既に飛翔してきた方向と真逆の方向へ幼鳥は再スターを切っている。
逆方向へ飛び出しの瞬間!親も空中で向きを変えるが幼鳥の反転は素早い。
幼鳥は水没する前の向こう方向への飛翔とは完全に真逆方向に飛び出した。
どう見ても、これら一連の行動は、単なる厳しい叱りつけるようなスパルタではなく、意味のある水中への緊急避難・回避行動の訓練だろうと推察する。