2016年5月31日火曜日

東与賀干潟(大綬溺)は間違いなく西日本における干潟のナンバーワン! The Higashiyoka tideland (daijugarami) is certainly numero uno of the tidelands in West Japan!

 これで通算4度目の東与賀干潟への遠征歴となった。潮汐表を観て、ちょうど良い時間帯を狙って行かないととんでもなく無駄に時を過ごさねばならなくなるから要注意だ。干潟での観察はこの部分が他の野鳥観察と大きく違ってリスクの多い部分だ。途中、柳川の夜明茶屋で頂く有明海で獲れた魚介類だけで作る握り寿司の楽しみもあって、今後も通うことになるだろう。

 前回今年の3月中旬に此処を訪れた時は気温も低かったので、早朝遠くに熱気球が上がっていた。此の熱気球はバーナーで加熱した気球内の温度と外気温との温度差で上昇するので、気温が低くないと上がらない。いつか早朝の野鳥観察と熱気球のコラボレーションを画像に収められると面白いが・・・。


 ちょうど今回は満月大潮の日だったので、早朝佐賀市内の宿泊先から東与賀干潟へ向かいながら沈みゆく満月と昇って来た朝日を同時に見ることが出来た。

佐賀平野の西に沈もうとする満月。

東の方向、河口に並んだ漁船の向こうに昇った朝日。

 ヤマセミ中心に生態観察をしているので、数多くの野鳥を詳しく知らないし判別もいい加減な筆者だが、海鳥に関しては余計知らない。しかし、これからも野鳥の名前や判別に意図的に詳しく成ろうとしたり、その知識・判別力を競ったり誇ったりするつもりは毛頭ない、自然に覚えていければと思っている。


 野鳥に接する個々のスタイル、理念にはもっとオリジナリティが有って良いと思う。戦時中の軍艦識別力や航空機識別力の様に野鳥識別力を高めたいとは思わない。それはとりもなおさず団塊世代の悪しき「勝ち負け、優越感競争」に繋がりかねない。もう競争は散々やって来たし、飽きた。 だからこそヤマセミの生態に魅了され集中的に嵌まって観察研究しているというのに、今更野鳥の分野で勝った負けたの世界に引き戻されてたまるか?


 野鳥の名前をたくさん知っていることを自慢したり、野鳥の名を間違えた人を仲間の前で指摘し得意になるような輩を沢山見てきているだけに、ああいう人間にだけは成りたくないと思うばかりだ。

 
 この日はまだバーダーは一人も堤防上には居なかったが、地元の年配の漁師さんが居て、此の東与賀干潟漁の歴史や百科を教えてくれた。東与賀干潟の戦後の成り立ちや、ムツゴロウ、トビハゼ、ワラスボ、その他貝類の話を伺い、海鳥の習性など漁師ならではの貴重な話を伺えた。その伺った知識を頭に入れて面白い画像も撮れた。やはりヤマセミ観察の際の球磨川漁協の漁師さんの話を聴いて生態観察する時と全く同じだと思った。

 日本には多数の干潟が存在するが、野鳥飛来数、種類数ではここ東与賀干潟はトップクラスだろう。特に九州地区においては群を抜いて重要な場所だと思う。同じ有明海の肥前鹿島干潟と共に佐賀の資産だろう。

 その他にも熊本県の不知火海に八代・球磨川河口干潟、福岡市に和白干潟など在るが、規模も規模だがそれぞれ工事が多かったり都会化してしまい、野鳥の飛来数が不安定だったりする。

 自然環境関係のサイトに良く有る全国の干潟人気ランキングの一つを視ててみると面白い事が判る。ランキング式で順位など付けてもあまり意味が無いので順位を省いて北から日本のベスト10を紹介してみよう。



〇野付半島・野付湾(北海道)
〇風蓮湖・春国岱(北海道) 
〇谷津干潟(千葉)
〇藤前干潟(愛知・名古屋)
〇中海(鳥取・島根)
〇和白干潟(福岡)
〇東与賀干潟(佐賀)
〇漫湖(沖縄本島・那覇市)
〇泡瀬干潟(沖縄本島・沖縄市)
〇与那覇湾(宮古島)

 少し前の関西ベースのデータなので、筆者の私感が入っていないのがいささか残念だが、自分の好みを入れると当然もっと関東エリア、東北エリアが多くなるだろう。

これは、野鳥の飛来数や種類の多い少ないの比較だけではなく、訪問者が観察しやすい、トイレや駐車場施設が整っている、更には現地に我が物顔の関係者が居て、来訪者が排他的な扱いをされ不愉快な思いをしない・・などソフト面も加味されているという
 
 その点東与賀干潟は満点に近い環境だと思う。それは観察者の多さや和気藹々とした現場の雰囲気からも感じられる。これらベストに選出された干潟のほとんどがいわゆるラムサール条約に加盟している干潟だが、決してそれがベスト10に入る条件ではないようだ。別にラムサール条約に入ったからと言って野鳥の種類や数が増えるわけではない。全国の干潟・湿地帯で環境保全に努力されている所はラムサール条約など関係なく沢山存在する。
 登録されたからと言って格が上がる訳でもない。中には権威が付いたなどと威張る関係者が居るそうだが、大きな勘違いだろう。筆者も良く行く道東根室の春国岱や奥日光戦場ヶ原などではこのラムサール条約に入っているからどうのこうのという事は何もない。せいぜい看板が立っているだけ。

 此処東与賀干潟の特徴の一つは、野鳥を脅かすことなく観察しやすい柵の存在だ。柵のすぐ手前は満潮時の水位上昇による泥でぬかるんでいるため長靴が必須だが、観察者の胸から下が隠れるハイドの様な役割を果たしている。普通他の場所では、この距離で海鳥達を観察することは非常に難しい。

 もう一つの特徴は女性バーダーが多い事だろうか?トイレなどの施設が完備されているのも好条件と思われる。

 この日は早朝一番乗りだったので、地元の漁師さんに30分ほど色々な事を教えて頂けた。これは非常にその後の生態観察に役立った。漁師さんたちも利用している無料で覗ける高倍率の双眼鏡が素晴らしい!

これだけ種々雑多の海鳥が混在するのも素晴らしい!

動く時は種ごとの群れ行動は当たり前。

それぞれが、干潟内でテリトリーをうまく仕分けている。

 実際にこれだけ色々な種類の飛翔画像が同時に一つの画面に収まるのもここならではないだろうか?まるでカーテン生地や女性のワンピースの柄のようだ。本当に作れば売れるかも?

クロツラヘラサギ、この日は13羽が確認された。ほとんど翼端が黒い若鳥。

 こういうシーンを撮影できるのも東与賀干潟の特徴かもしれない。是非また行こうと思う。