2016年4月3日日曜日

団塊世代が考える観光活性化「八代市の場合・その4」

 桜が満開になり、全国いたるところでお花見花盛りになっているようだ。桜と言えば野の中の一本だけで観客を呼び込む南阿蘇一心行の大桜、その昔八代の球磨川萩原堤の桜並木など日本人の大好きな花だ。ちょうどソメイヨシノの寿命が70年程なので、人間の寿命に似て居ることもありその散り際のはかなさも相まって日本人の心をつかむのだろう。

 都市計画や観光対策で樹を植えようとすると、なぜかこの桜を押す自治体が多い。育つのが早いので、植えてほぼ10年くらいで立派なお花見が出来るのもあるだろうが、他のエリアに桜の名所があると我が町にも桜の名所を是非!と競争心が理由で全国的に増えているようだ。

 しかし、桜の花の時期は開花からほんの2週間だけ。春の嵐が来たり暖気が3日も続けばあっという間に散ってしまう。あとの年間350日程は毛虫が下がるただの樹木なのだ。ポプラや柳に比べれば背も低く花が無い時の桜ほど印象の薄い樹木もない。熊本空港へ向かうクスノキの並木等の方がはるかに印象に残ると言って良いだろう。

 桜の話はこの辺にして、今日は観光活性化とメディアの役割を少し述べたい。昨日人吉にお住いのヤマセミ観察に関する大先輩からいつもの通り送ってくださる地元、熊本日日新聞・人吉新聞にSL人吉号の運転開始の記事が在った。八代市に住んでいた中学校時代から大の鉄道ファンの自分にとって鉄道の記事には目が無いので、いつも見逃さず漏らさずチェックしている。一方で経財界・政界・金融関係者が必ず小脇に抱えている日本経済新聞にも20日ほど前、肥薩線の話が載っていた。

 それぞれの新聞の購読者を想定しての記事なので、記事内容はもちろん違うし方向性も異なる。 従って記事の優劣だとか、品の良さだとかをここで論ずるのではなく、目的と対象者によってメディアの活用方法は大きく異なるという事を述べてみたいのだ。

数日前の熊日新聞の肥薩線SL人吉号の記事。

4月1日午後発行の地元人吉市の人吉新聞の記事。

日経新聞3月11日付シリーズものの「ニッポン途中下車」での肥薩線の記事。

 この3つの記事を見比べてほしい。熊本日日新聞はここ数年来着実に乗客数を伸ばし続けている人気のSL人吉号の今年の初運行を記事にしている。そうして到着駅の人吉駅での観光関係者のお出迎い、歓迎の様子を人吉新聞が伝達している。内容は日常の一コマで「春が来た、今年もSL人吉号運行の季節になりました」という地域的な内容だ。この2紙は地方新聞だから当たり前の記事だろう。

 一方の日本経済新聞は全国の鉄道とその沿線の情報をシリーズで掲載しているもので、北は北海道から南は沖縄まで全国津々浦々の情報(観光も含め)を読むことが出来る。その中での肥薩線の立ち位置・希少価値を全国レベルで述べている。全国でこの情報を初めて知った人が何人いるだろう?これこそ「観光活性化の起動情報」になり得るのではないだろうか?

 観光活性化で全国に我が郷土の認知を求め情報を発信するためには、同じ新聞でもどちらに取り上げてもらう必要があるか?誰でも判る事だろう。

 日経新聞の記事であれば全国紙なので、全国の人間が読めて興味を示し「いつか行ってみようか?行ってみたいなー」と多くの人間の観光意欲を掻き立てることが出来る。しかし、SL人吉号の記事は熊本県内の方しかすぐには読めないので、県内での利用客掘り起こしには即効果が上がること間違いなしだ、しかし県外からの観光客誘致には情報が届かないので直接効果は少ない。

 間違わないでほしい、此処では決して地元・地方紙の熊本日日新聞に何も期待できないという事を言っているのではない。現にこの熊本日日新聞は東京では買えないし、定期購読契約しても1日遅れでしか届かない。SL人吉号の記事もこまめに毎日クリッピング記事をメールで配信してくださる方がいなかったら筆者もその日に見ることが出来なかったのだ。情報は入らないのだ。

 つまり、観光活性化を実行するには、ただ「組織を作って、仕組みを作って、宣材を作れば良い!」というのではなく、その情報を「どこの誰にどういうルートで伝達すればよいか?」が重要なのだ。広告代理店で言うところの4大媒体、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌、だけの時代は終わり、今やインターネットが日常の情報源のほとんどを凌駕し始めている。そんな中で具体的に一番近いアナログ媒体「新聞」ですらこれだけ記事の載り方、読まれ方で相手を選ぶという事実を観光活性化担当者は理解しなければならないという事を言いたいのだ。そうでなければ無駄な予算を沢山使う事に成ってしまう。目的と手段とタイミング。観光活性化の大きな要素が此処にある。

 ・・・という訳で、今日は

熊日新聞に掲載したタイアップ記事の第4弾


八代市の新しい観光戦略は「カメラの被写体に恵まれた街、八代市」その2.

 この第4回からは、いちいち掲載した文面を改めて横書きにして掲載しないことにしよう。充分に読めると思うというご意見を頂いたので、むしろこの新聞連載に掲載できなかった画像を載せて行こうと思う。

 この八代の活性化の話を頂いて以降、何度も足を運ぶ度に当時のまだ画素数の低いコンパクトデジカメで打ち合わせの合間、市役所が引けた後に市内を徘徊しフォトジェニックな場所を撮影した。これらのカットをまとめて作成した写真集小冊子を印刷し無償配布した。配布したのはもちろん九州新幹線・新八代~鹿児島中央間の部分開業日を中心に新八代駅での在来線との乗り換え乗客を中心にだ。市内在住の方に配っても直ぐには何の観光活性化にも繋がらないツールだ。

中国から飛んでくる黄砂で赤くなる夕焼け、

日奈久温泉の古い町並みと佇まい。

これらの中から、皆が良いという画像をポストカードにしても配った。紙取りの関係で無駄が無いようにしおりも同じように作成して配布した。