2016年2月15日月曜日

ヤマセミ生態シリーズ #07.『12月の早すぎる給餌は何を意味するか?』 Ecology report of the Crested kingfisher #7.

 人吉からの情報によると、今シーズンも既にヤマセミの交尾行動が早朝観察されているとの事。例年、季節を追ってヤマセミの生態を観察中、2年前年末の求愛給餌を動画中心でいくつか静止画撮影も行った事があった。

 求愛給餌=直後の交尾・・・だという事を、過去の文献や野鳥観察ブログから刷り込まれていた筆者はこの時のヤマセミの行動をどのように理解して良いのか面食らった記憶がある。
 
 過去6年間の観察から、ヤマセミは繁殖期には一日に数回の交尾を行う事、それもお気に入りの場所で何度も行う事が多いこと、しかもそのお気に入りの場所と言うのが意外にも何処からでも見通せるような公衆の面前である事などが記録画像で解明されている。さらには求愛給餌を伴わない交尾が有ること、2羽が重なってはいるものの尾羽がクロスせず、言わばちゃんとした交尾になって居ない「練習」的な交尾が多い事実も観察出来ている。

 しかし、あくまでそれは毎年年が明けて2月に入ってからの事だった。2月15日より前に観察した事はなかったのだが、2013年のこの年に限って言えば12月13日に眼の前で求愛?給餌を行った早期実施記録が残っている。しかし交尾には至らなかった。

 その後、色々なつがいを同時並行で観察した所、11月後半から年を越して1月半ばまで、メスがオスの傍に行こうとすると、何故かオスが嫌がってか逃げてしまい、ある一定の距離を保って二羽で日々過ごしている事が判った。これは人吉エリア内4箇所でそれぞれ別のつがいを注意深く観察して記録画像を撮って判った事。理由までは判らないが、通年でつがいでいるヤマセミも厭きる時期があるのだろうか?繁殖期前にカップルの仕切り直しのような事をする時期があるのだろう。そういう生態なのではないだろうかと思っている。

 で、仕切り直しの早く終わったカップルが改めてこれから一年ヨロシクね?と言った感じで給仕行動をするのではないかと踏んでいる。実際の交尾行動までまだ間があると言うのに、12月中旬に交尾前の求愛給餌をしてしまうというのは、いかにもせっかちで早すぎるような気がする。

 ただ、11月頃巣穴を掘ったつがいや、交尾の観察をしたという観察者のブログも時折り視る事もあるので、中には「季節がどーした?」「俺は俺流で行くんだもんね!」みたいなヤマセミが居ないとは断言できない。だから「ヤマセミの生態はこうだった!」とレポートしても、決してこれ以外の生態はありえないなどとは絶対に表現しないつもりだ。

今日の観察画像は、その早すぎた求愛給餌のカップルの直前の行動。オスが散々口に獲物を咥えてメスを呼び続けた所に、メスがなんと自分でも餌を自前で捕らえて咥えてきてしまい、非常にバツが悪い、眼が点になった状況のもの。思わず笑ってしまった。2013年12月13日の生態記録。

約5分以上頭を前に獲物を咥えたまま鳴き続けていたヤマセミのオス。この動画は長い事このブログの本家YAMASEMI WEB= http://yamasemi.org/ の巻頭動画シーンに掲載されて居た。

その後、メスがやっと飛んできたと思ったら、口に自分で獲った獲物を咥えていた。

バツが悪そうなメスのヤマセミ。

チラッとオスが咥えている獲物を見て「デカイ!」と思ったかどうかは知らない。

 慌てて、せっかくのご好意!頂かなきゃと思ったのか、慌てて自分の獲物を飲み込むメス。此処で面白いのは給餌をしようとするオスが固まったままずーっと同じ姿勢で居る事だ。せっかく呼んでいるメスが来ない上、やっと来たと思ったら、自ら獲物を咥えて来たので、自分はどうして良いのか頭の中が真っ白になったのだろうか?

 この直後、メスが慌てて自分の獲物を飲み込んで、さらにオスのくれようとする獲物に喰らい付こうとするのだが、オスは怒ったのか餌を咥えたまま別の岩に飛んで行ってしまうのだ。勿論さらに続きを観察してその後も収録してある。