その日は後姿しか見えなかったのだが、翌日「柳の下のドジョウ」を狙って午後同じ場所まで車を走らせたところ、出遭えたのだった。その猛禽類というより猫のような独特の風貌、小さな顔は一度観たら忘れられない個性の強いものだった。草むらに2度ほどダイブして暫く出てこなかったのは採餌に成功したのだろうか?見失ったと思ったのが全然違う所で再発見して、「おっ!2羽いるのか?」と思った程だったが1羽だった。忍法葉隠れの術を使うらしい。まさかとは思うが、ひょっとすると草むらの地面を歩いたり走ったりするのかもしれない。
阿蘇の外輪山や北関東の渡良瀬遊水地で観察したハイイロチュウヒと同じものに、人吉盆地の奥で遭遇できたのは本当に幸運だった。
藪の上を低く見え隠れしながら飛ぶスタイルはコミミズクに似ていた。
最初は正直コミミズクかとも思った程だった。
しかし、丸太をすっぱり切ったような顔をしているコミミズクとは違う顔だった。
何度も同じ場所を往復する姿を観て採餌だな?と思った。
そうこうしていると、カラスにちょっかいを出されて休耕地の上に出てきた。
やはり高くは飛ばず低く飛んでいく。
夕陽を浴びつつこちらの存在には当然気が付いているが、気にしていないようだった。
猫のような顔で首をかしげているが、「何だろうあいつは?」とでも思っているのか?
その後も直ぐ傍を悠々と通り過ぎていった。衝撃の10分間だった。この冬居付いてくれると嬉しいが、どうだろう?