2014年7月28日月曜日

「団塊世代のヤマセミ狂い外伝 番外編#2.」 2014道東探鳥ツアー その2。

 3日間のうち、最悪の条件だった雨の23日(水)はカメラ機材が濡れて、大変な状態になりそうだったのと、カンムリウミスズメやお目当てのエトピリカも、ユルリ島のブレイク傍ながらつがいで撮影出来た為、ガイドさんにお願いして早帰りした。撮影が目的の私と関西からの方は降りしきる雨の中、船長さんにカメラを預け船室の片隅に入れて頂いた。
うねりと雨の日の同型漁船

  それ以外は初日22日、道東独特の海霧の中を数多くの海鳥に出遭え、ラッコにまで遭遇してバラエティに富んだ出航だった。ラッコの大きさには想定外だったのでちょっとショックを受けた。決して可愛いという表現が当てはまるような大きさではない。下手をすれば人間の男が毛皮を着て海の中でひっくり返ってこっちを見ている感じ。
 大きめの貝(北寄貝?)を抱えてぐるぐる横廻りしていた。最初は流れ藻の中で遊んでいたらしく大きな生き物がいるというだけで、まさかそれがラッコだとは思わなかった。ガイドの新谷(にいや)さんが大きな声で「これはボーナス!ボーナス!」と言っていたところを見ても、そうしょっちゅう出遭える事ではない事が見てとれた。
ラッコは海藻にくるまって流されない様にして夜寝るらしい。

テレビや画像集で観たとおりのラッコ

 自分的にはラッコと云う動物はせいぜい柴犬ほどの大きさだと思っていたのだが・・・・人間の中学生くらいかもしれない。ずぶ濡れの古いぬいぐるみと云った感じだが、道東に居ると云う事を知っただけでも収穫だった。その昔、景山民夫がエッセイでカナダ・バンクーバー沖にラッコに逢いに行き、潜水具を使ってケルプ(昆布)の森を潜ったが出遭えず、浮上したら目の前にラッコが居て眼が合ったと書いていた。で、思わず手を上げて挨拶したらラッコも手を上げた・・・と云うのがあったが、今回はそういう事は無かった。
眼が合ったが手は上げてくれなかった。

  本題のエトピリカに入ろう。少し前までは落石漁港から1時間程西へ行った浜中町に在る霧多布岬の沖の小島附近でも観られたようだが、今はもう観られないそうだ。2008年に洞爺湖環境サミット関連の仕事で札幌に2週間ほど滞在した時に、霧多布まで来てペンションに宿泊した。その際、道東の野鳥が本州と相当異なっているのに気が付いた事が、今回撮影行の即断即決に繋がっていると思う。細かい話だが、アオゲラの胸の横縞や頭の赤い部分が無い「ヤマゲラ」、異様に赤い「ベニマシコ」、サホロリゾートに行く時に帯広空港からすぐの公園で観た中途半端な大きさの「コアカゲラ」など・・・。
やたらと赤くて大きなベニマシコ

 これらをベースに念願のエトピリカを本当に観られるのか?正直ガイドの新谷さんに逢うまで半信半疑であった事を白状しなければならない。しかし彼がメインで毎日更新しているブログ、「道東の野鳥情報」のサイトを視て「居る!必ず出遭える!」との確信を持つに至ったのは、証拠写真の威力・説得力だろう。やはり言葉ではなく撮影した画像が全てを安心させてくれる。彼はガイドの傍ら連日海鳥を撮影してブログにアップしているが、その腕前は舌を巻くほどのモノだ。使用機材はたぶんCANONPowerShot SX50 HSあたりだと思うが、CANON一眼デジタルの超望遠レンズ装着を持ち込むカメラマンより、余程素晴らしい画像を収めている。これは対象の海鳥の習性、次の動きの予測、背景などを熟知しているからに他ならないと思う。海鳥撮影においても「経験と慣れ」が如何に重要かも今回学んだ。
距離4~5mまで近づけるとは思わなかった。

3羽も同時に撮影できるとも思っていなかった。


 結果、初日のエトピリカは14羽の幼鳥に出遭え、成鳥は遠くを飛ぶつがいの姿を収録出来た。二日目は数羽の幼鳥の他、荒れた海面を雨の中2羽つがいで居る所を撮影出来た。最終日の25日は幼鳥にには1羽も出遭わなかったが、逆に計8羽(遠くを飛ぶ個体含む)の成長個体に遭遇出来て、飛び立ちシーン、着水シーン、飛来シーン、3羽同時のシーン、イワシを頬張ったシーン、身繕いシーン、など色々なバラエティを収録できて幸せだった。それが初日で無く三日目だったのも非常にラッキーだった。次の冬季の落石ネイチャーツアーに来た時の良い教訓としたい。
飛び立つ際の走りだしはうねりなどの波を観て突然スタートするようだ。

波の斜面を上手く使って走り出すが助走は結構長い。

波の斜面が最大傾斜になった時に羽ばたき始めている。

目一杯赤い足で水面を蹴っているのが判る。

低い滑空を繰り返して上空へ上昇するようだ。

ユルリ島の営巣場所へ帰って行くらしい。そう高い所を飛ばなかった。