2014年6月19日木曜日

ヤマセミの巣立ち その1. This is the fledging of crested kingfisher Part 1.

 青大将に1羽を呑まれ、原因不明の巣穴からの落下で2羽目を失ったヤマセミの繁殖観察だったが、巣穴落下事件当日の昼過ぎ、5月の灼熱の太陽の下、33℃の気温の中最初のヤマセミが巣立った。私達の観察では最初の1羽が5月31日昼の12時16分(晴天)、2羽目が翌日6月1日午前10時28分(晴天)、3羽目が1日おいて6月3日早朝午前5時28分(雨)だった。

 バイブルとしている「ヤマセミの暮らし」という本の記述によると著者は4回立ち会ったヤマセミの巣立ちは全て朝5時頃~6時頃と云う事で1日で雛全部が巣立つような記述だったが、最初の1羽が昼過ぎに巣立つなど相当場所・環境によって生態が異なるようだ。1日1羽づつ、しかも最後の3羽目は2羽目が巣立った翌々日の巣立ちだった。

 此処からはあくまで推察の域を越えないが、最後の3羽目が巣立つ前の日に巣立ちが無かった理由は巣穴から落下してしまった雛、もしくは青大将に呑まれてしまった雛の順番だったのではないだろうか?ヤマセミの産卵がどういう状況なのか判らないが、アカウミガメのように一度に全部の卵を産卵するのではなく、毎日1個づつ産卵するとしたら巣立ちも毎日1羽づつと云う事が自然なのではないだろうかと思った。「ヤマセミの暮らし」の記述によると「ヤマセミの巣立ちは同日に全ての雛が巣立つのが普通」となっているが南九州では環境が違うのだろう1日1羽づつだった。

 このあたりは地域格差、巣穴の環境条件によって異なるのだと思う。もちろんたった一度の巣立ちを観察したからと言って「ヤマセミの巣立ちはこうだ!」と断言するつもりは毛頭ない。自然環境による野生動物の生態は人間の想像をはるかに超える幅と柔軟性を持っていると思う。

 なお巣立ちの模様の画像をブログ上では、巣穴を極力掲載しない努力をしているが巣穴を写さなければ文章だけでは説明できない場面に限って掲載した。既に3週間前の事ではあるが、場所の特定を防ぐ努力を行った。巣穴とヤマセミ自体に手は加えていないが、巣穴の周りの崖壁などは全て特徴を消し画像処理をしている。

 したがって巣穴の周りが画像によって全然違う穴のようにも見えようがご容赦願いたい。更にいずれも100mは離れた距離からの画像であったり、同時収録の動画からの切り取りだったりするので不鮮明である事もご容赦願いたい。

 いずれ自費出版する生態観察レポートには学術的な環境説明の意味も含めて、事実を伝えるべく一切加工しないオリジナルの画像を掲載する予定。

巣立ちの日でそれまでと一番違うのは親鳥が2羽揃って巣穴の正面の目立つポイントに留まり、雛の巣立ちを促す鳴き声で呼びかける事から始まる。この声は観察している人間にもそう聴こえるから不思議だ。
 巣立ち直前5分前の画像、親が幾度となく巣穴の雛に近づき巣立ちを促す。既にこの段階になると見せ餌は咥えていない。

 時には両親が連続で、あるいは同時に促しに行く。これはやはり別の車の中から一緒に観察・撮影している方の画像。

 1羽目の巣立ちの瞬間!回しっぱなしの動画の切り出し画像。肉眼での判断が難しい距離なので静止画では撮影が間に合わなかった。

上の画像の0.03秒後の画像。巣穴に次の雛が見えているが翌日巣立つ事に成る。

此処から先は5月31日に緊急で掲載した巣立ちブログを参照願いたい。

 巣立った瞬間も親鳥が保護警戒の意味だろうか、下に飛んでいたのを後で発見した。上が巣立ったばかりの巣立ち1号。

 約1時間後、巣立った1号は親と共に何処かへ飛び去って行った。ほんの1時間前に自分が巣立った巣穴の直ぐ上を飛んで行ったが、巣穴には目もくれず一目散に一生懸命飛んで行った。残った巣穴から翌日巣立つ次の雛がほんの少し見えている。まさに観察開始7日目の感動だった。例によって巣穴附近の崖は場所の特定を防ぐため画像処理している。

次回は2日目に巣立った巣立ち2号の観察レポートを予定している。