今日の画像は非常に偶然的画像だが、まあ滅多には撮れない何かの力が働いたとしか思えないシーンだ。4年前から懇意にして頂いている辻正彦氏という名医が人吉で医院を開業している。随分前から毎朝球磨川の土手をデジタル一眼カメラを抱えてウォーキングされている定点野鳥観察の超ベテランだ。特に毎朝ヤマセミの生態をチェックし撮影されている点ではその遭遇頻度において国内で随一の方だろうと思う。多少の雨では決して中止しない。傘をさして撮影されているのを何度も目視している。
人吉に滞在時は、余程の事が無い限り朝7時~8時20分の間に球磨川本流の宝来樋管もしくは相良樋管、あるいは左岸の繊月橋上流土手で待ち受けてお逢いして30分間ほどヤマセミに関する情報交換、撮影成果の確認などを行っている。
この画像の時も薄いながら霧が出ていて見通しが非常に悪い早春の朝だった。こちらは50-500mmのズームをフルサイズのデジタル一眼に装着していたのだが、辻先生の姿を画面に捉えた直後、自分の後ろからヤマセミ2羽の声が聴こえた。次の瞬間2羽のヤマセミが朝練習なのか何か判らないがもつれ合うようにチェイスをして自分を追い抜いて行った。で、その2羽を追いかけて連写をして15~6カット撮影したのは覚えていたのだが、露出やシャッタースピードをマニュアルで撮影していたため適正ではなく、碌な画像に成っていないとパソコンに取り込んだ後も碌に確認していなかった。
其れが、ヤマセミの写真集の続編を来年再度自費出版するために、色々な生態画像を今年撮影した中から拾い出す作業中に今日ご紹介の画像を偶然発見したのだ。
勿論トリミングをしているし、明るくしているので画像は荒れ放題。3コマ約0.35秒の間にヤマセミ2羽は当然動くが、正面の辻先生もとっさにヤマセミを認知しカメラを用意しようと反応している。もの凄い反射神経と言えよう。人吉橋の上の車の速度も時速40km程と計算できる。秒間6コマのカメラが捉えた3コマの間に色々なモノが見えるのがたまらない。
まだ2羽のヤマセミは撮影者の私に近い所を追い掛け飛翔している。しかし辻先生は既にその2羽を確認して動きを始めているのが見てとれる。
少しこちらに向かって歩いてくる辻先生に近くなっただろうか。
鳩やカラスであれば普通に良く有りそうなシーンだが、これがヤマセミだというと東京の仲間たちからは「嘘に決まってら」の一言で終わってしまう程、人吉はヤマセミに関しては到底信じられない環境なのだ。