2019年8月12日月曜日

野鳥写真家・嶋田忠さんのトークショウは興味ある話が多かった。 The talk show by wild bird photographer Tadashi Shimada taught me the interesting things.

 東京都写真美術館で、シマフクロウ、カワセミはじめアカショウビン、ヤマセミなど魅力的な野鳥写真撮影の第一人者・嶋田忠さんの写真展「野生の瞬間」をやっていることを8月5日付のこのブログでご紹介した。
※ http://yamasemiweb.blogspot.com/2019/08/urgent-posting-tadashi-shimada-photo.html

 1週間前の前回は展示だけ見て、嶋田さんご本人とはあまり時間もなく話が出来なかったが、昨日今日は研究室との往復のついでに夏の連休日、二日続けて彼のトークショウを拝聴。来場者たちに交じって面白い話を伺った。

 まだ、今後8月17日・18日週末、24日・25日週末と続くようなので是非お勧めしたい。
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3412.html

 昨日・今日出た話の中で、野鳥撮影に関しての話の中で、どんなにそーっと近づいても、野鳥(のみならず野生動物)のほとんどは人間の存在を判っている。気配を感ずる、つまり人間としては絶えてしまっている「第六感」を十分働かせている、という事だった。

 特に大口径レンズの反射光は野鳥の側から見ると微妙に動くため、一発でこちらの存在を感知されてしまう。だから、どうしても「隠れる・ハイド」して人間の存在を全く知らない=警戒しない状態での野鳥の生態を撮影したいとの事だった。嶋田氏が撮影用のテントに時間と工夫とお金をかける理由はここにあったようだ。

 縦・横1200mm×高さ1500㎜の四角いテントが一番多用するサイズらしい。こげ茶かモスグリーンのテントにオーストラリア軍隊の使用する迷彩柄の布をかけ、更に周りの木々の葉を上からかけるようだ。

 筆者も人吉の山奥でアカショウビンの繁殖を観察・幼鳥の巣立ちまでを収録した事が有ったが、サポートしてくださった地元の方のご厚意で、似たような大きさのテントに閉じこもった事が有った。観察中周りをいろいろな動物が通過していったが、生の「ダーウィンが来た!」を体験できたのだった。

 筆者も、なるべく野鳥にこちらの存在を知られたくないので、広いフィールドでは最近テントではなく、スナイパー・狙撃兵が着用する「ギリースーツ」を着て撮影することが多い。
うかつに街中では着用しない方がいい。

 野鳥が人間の存在を全く気にしない状態、つまり完全に自然な状態でいるところを撮影したいという話。これは、ニューギニアで29種の極楽鳥を撮影したという、ティム・レイマンも似たようなことを言っていた。この二人ともがCANONの機材を使用しているのは偶然だろうか?

 筆者のような、人間の生活する人吉市で人間と共存しているヤマセミを追っている者とは異なる撮影世界を探求されている事が判った。野鳥撮影にもいろいろな目的・考え方があるという事が良く判るお話だった。

 二つ目に興味を持った話が、撮影した野鳥とそれを印刷する段階での「色」の話。彼のようにフィルム時代から長い事野鳥を撮影し写真集を出版、プロとして活躍してこられた方の考える「野鳥の色」は、非常にデリケートな部分の様だ。

 撮影するカメラのメーカーによっても捕らえる色は違うし、フィルムメーカーのフイルムでも全然変わってくる。現像所によってもプリント印刷所によっても大きく違う。これだからきれいな青いカワセミ、真っ赤なアカショウビンを撮っても、思う通りの撮影時自分で観たイメージ通りの色が再現できないので、納得がいかず限界を感じてシマフクロウを撮影したシリーズの後、スチールの写真撮影を一時期止めたそうだ。

 そうして動画の世界に入ったとの事だが、動画だとイメージ通りの色が出るのか?それは何故なのだ?は訊きそびれてしまった。

 その後、実は60歳近くになってヤマセミの撮影を始めたそうだが、彼が動画で参加した「ダーウィンが来た!」の千歳川のヤマセミは2006年頃だったような気がする。静止画はその後なのかもしれない。今回展示されている凍った嘴のヤマセミなどはわりに最近の作品なのだろう。

 こうも言っていた、最近は撮った画像の色をパソコンで色々いじって、自分が観た瞬間の色に画像処理できるので多用していると・・・。ヤマセミ以外の野鳥を撮っているとコンピュータ画像処理の重要性を強く感じられているのだと思った。
 
 筆者は逆に野鳥の色を画像処理でコントロールすることはない。それ程綺麗に撮る事を心がけていないからかもしれない。筆者が追及する所は綺麗さやイメージではなく、研究者として「ヤマセミがこんなことするんだ!」「ウッソー!こんなん在りかよ?」という、今まで誰も知らなかったヤマセミの生態場面の証拠画像を残そうとしているのでそれぞれ追及する内容が違うのは逆に非常に良い事だと思っている。

 特にヤマセミを撮る際は、余程事前に考えて撮影しないと主翼やボディの白はコンピュータで色々処理しないと白トビを起こしてしまい、非常に難しいと仰っていた。これは筆者もさんざん初期段階で苦労したので良く判る部分だった。
 
8月10日のトークショウは写真家・宮崎学さん(この日が70歳の誕生日)との対談だった。

会場は東京都写真美術館2Fのミュージアムショップ前のロビー。

160名ほどの聴衆だったが結構立ち見(筆者も)客も多かった。

この日は宮崎学さんと対談。嶋田氏も宮崎氏も筆者も3人とも70歳、奇遇だった。

きょう8月11日は嶋田さん一人でのトークショウ。

昨日進呈した「人吉市の山翡翠」など筆者の写真集を観て頂いた感想などを伺った。その後でパンフレットに記念のサインを頂いた。

今日は30分ほど前に現場に到着、色々撮影時の話など伺った。

参加者はいろいろなレベルの方なので、込み入った質問は判らないと思い遠慮したが、質問はいろいろあり、今後に持っていきたいと思う。