2017年12月3日日曜日

ヤマセミと世界で一番多く遭遇し続けている方が人吉市に居る。 I would like to introduce those who encounter the most in Crested kingfisher in the world.

 2010年4月1日、エイプリル・フールの日に生まれて初めて人吉市でヤマセミに遭遇して以来早やくも7年半が過ぎた。その間人吉市には40回以上訪問し、延べ滞在日数は200日を越えた。

 ヤマセミを撮影したカット数はブレやピンボケ含めて遂に13万カットを越えた。勿論銀塩フィルムの時代とは異なり秒間12~14コマの連写が故の量だが、パソコンの外付けHDがデスク下に増えるのを視つつ、自分自身の制御が留まらない現状にため息が出るばかり。

 しかしこんな事で驚かれては困る。人吉市にはヤマセミに関して筆者など足元にも及ばない観察歴をお持ちの方が二方おいでだ。

 人吉市の開業医、辻正彦氏と球磨川流域の野鳥観察を数十年間続けておられる古江之人さんだ。それぞれ独特の観点からヤマセミに接しておられ、共にキャノンとニコンの差はあれ、多分国内ではヤマセミに一番近くでなおかつ数多く接しておられる方だと思う。

 毎朝このお二方と、辻先生の奥様を加えた3名が毎朝球磨川土手のウォーキングや車での巡回観察中ヤマセミの動向を携帯メールで送って下さる。これが故、この3名の方の六つの眼で観察された球磨川のヤマセミの動向・情景が東京に居ながら毎朝手に取るように判るのだ。しかもこの3名はそれぞれ毎朝観察ルート・時間が異なるため、途中で合流したり交差したりして情報交換もされているが、人吉市内中心に流域5kmの範囲をカバーしているため2~3ファミリーの詳細生態が観察出来ている。

 こんなに恵まれた環境下でヤマセミの生態観察が出来る筆者は本当に幸せ者だと思う。毎朝人吉の方向に手を合わせるのは決してヤマセミ神社(=矢黒神社)へだけ拝んでいるのではなくこの3名の方への感謝を兼ねている。

 今日はその中で辻先生をご紹介。辻先生(=辻正彦氏)は1879年創立の名門熊本県立濟々黌高校(せいせいこう・こうこう)から国立熊本大学医学部を卒業後、東京女子医大、その他大手医療機関を経て人吉市に辻 循環器科・内科を開設され、日々医療活動を行っておられる。

 毎朝7時2分前にご自宅を出られ、7時ちょうどに赤い繊月大橋の右岸アンダーパスを通られる。筆者が人吉市に滞在中はこの時間にここで待ち合わせる事が多い。その時間の正確さは他に類を見ない。自他ともに規律や約束事、マナーに非常に厳しい辻先生らしいスタイルだ。

 この先生の辻医院へ是非行かれる事をお薦めしたい・・・と言ってもけっして病気に成れと言っているのではない。そのユニークな待合室の佇まいを観て頂きたいのだ。辻先生が撮影された球磨川流域の野鳥写真が沢山、所狭しと待合室から診察室まで飾られている。

 中には、非常に貴重と思われる生態画像も含まれており、研究者など息をのむような場面があったりするから楽しい。辻先生自体、白衣の下は黒っぽい装いで、時には迷彩服だったりするので非常にユニークなお医者様という感じだ。
仕事の顔で正しい姿の辻先生と診察室

こちらが待合室の一部

治療室への入り口は更に写真が多い。

数階建ての辻医院の入り口。

現在、滅多にデジスコは使用されないようだ。毎朝1万歩程度は歩かれるようだ。

普段は厳しいお医者さんだが、野鳥撮影家になった瞬間ひょうきんな一面はなかなかのモノ。公私混同をされないスタイルは学ぶ部分も多い。

地元の漁師さんで辻先生を知らない者はいないだろうと思う。

早朝ウォーキング中の辻先生にこうしてヤマセミが縄張り争いしながら接近する事すらある。これはチェイス中のヤマセミを追ったら偶然画面内に辻先生が入った貴重な場面。

朝一緒に球磨川縁を探索させて頂く際は、このように筆者の撮影スタイルを撮って下さることもある。意外に自分の撮影スタイル画像は無いだけに大変役立っている。